活動報告

【活動報告】平成30年8月23日①命をいただくということ~北海道エゾシカ肉処理施設認証制度

2018年8月24日

本日8月23日は、環境生活常任委員会の視察調査の最終日でした。

まず、午前中は、エゾシカによる被害対策の一環として
有効活用の現状を株式会社 知床エゾシカファームにおじゃまし、
富田社長からお話を聞きました。

知床エゾシカファームさんは、平成18年12月に設立されました。
当時、知床国道沿線ではエゾシカとの交通事故が多発。
また、数が増大した鹿の食害によって自然遺産の知床の生態系が
脅かされる危機もあった。その中で、建設業の低迷などから、雇用創出も期待して
斜里建設工業が立ち上げた会社である。

こちらの会社は、北海道が独自に制定した認証制度を取得している。

認証の要件は以下のとおりである。

(1) 道内に食肉処理施設を設置する食肉処理事業者であること。
(2) エゾシカ衛生処理マニュアル(平成18年10月北海道作成)を遵守していること。
(3) 北海道HACCP(北海道保健福祉部)で、評価段階A以上を取得していること。
(4) 出荷する製品について、書面上でトレーサビリティが可能であること。

この認証制度を取得した処理施設はまだ13箇所にとどまっている。

道のエゾシカ肉処理施設認証制度の詳細については
こちらを是非。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/est/yk/ninnsyouseido.htm

知床エゾシカファームにおいても、菌検査や金属検査を行うなど
衛生面では飛躍的に向上している。

エゾシカ肉の需要は、首都圏周辺や、地元周辺のホテル、飲食店などで伸びている。平成18年設立当初は、全く需要もなく生産量は数十頭程度であったが、
平成29年は、1932頭約31トンを生産したという。

ところが、課題としては、エゾシカが有害駆除の対象となって、
全道での捕獲数は年間10万から13万頭あまりと増えているが、
食肉として活用されているのは、捕獲頭数全体の16?18%に
とどまっていることだ。

知床エゾシカファームさんでも
設立当初は、ほとんど銃猟による捕獲であったが
現在は、自治体に協力を求め、
囲い罠などで自社捕獲する割合が増えている。
獲ったエゾシカは残さず感謝していただくという基本ルールが、
報償金制度などによって変化していくなか、
囲い罠猟、一時養鹿など、有効活用のための新たな方策に、
東京農大などとも連携して挑戦しているそうだ。

また、エゾシカは野生であることから、筋肉質で、
他の家畜と比較すると体重の2割から3割しか食肉にできない。
残りは全て廃棄処分にするしかなく、
経営を圧迫する要因となっていた。
平成25年から自社で発酵処理する施設を建設しているが、
法規制上、堆肥としては販売できないため、
自社敷地の盛り土として活用するしかない状況にあるとのこと。

富田社長は、
ビジネスとして大きな期待を持てるものではないが、
地域の行政とも一体となった被害対策の一環としての
有効活用は不可欠であり、
今のままの銃猟に頼った食肉生産では限界であると
繰り返し話されていた。

また、北海道として、現在アイヌ文化の世界への発信や、
縄文遺産の世界遺産登録申請などの動きを強化しているなかで、
人間が生きるために、あるいは、人間の都合で命をいただくときには、
しっかり活用させていただくことが基本であろう。
その精神性が今私たちにかけていることかもしれないと、
鹿の目をみながら思ったところだ。

いろいろな意見があることだと思うが、
道としてできることをしっかりやっていくこと。
定期的にチェックし、現場を応援していきたいテーマである。

最後まで読んでくださってありがとうございます。
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