活動報告

第3回定例道議会 一般質問に登壇しました(質問1回目) エネチェン・麦チェン・木チェン

2013年9月20日

◆(37番広田まゆみ君) (登壇・拍手)(発言する者あり)民主党・道民連合の広田まゆみです。
今回は、「エネチェン」「麦チェン」、そして、森林の利活用の大きく三つについて質問させていただきます。
質問をさせていただくに当たり、私自身の問題意識を最初に申し上げます。
従来型の成長戦略は、私たちに、このような暮らしぶりを奨励しているのではないでしょうか。どんどんエネルギーや資源を使え。それをはるかに上回る収益を上げればいいのだ。規模を大きくすればするほど利益がふえていく。それが豊かさなのだと。
100年余り前に、アメリカを中心としてスタートしたこうした経済の常識は、日本などの先進国に浸透し、その後、いわゆる発展途上国すらも巻き込んでき ました。特に、グローバル経済の体制の中で、あたかもそれは世界の常識のようになり、この前提のもとに、現在も日本の成長戦略が描かれています。
しかし、この常識は、地球環境に限界があることを想定していません。また、拡大するグローバル金融資本主義の一方で、格差と貧困が広がり、地球上で、今 も、5秒間に1人の子どもたちが餓死していくと言われる状況に、国際政治も日本政府も、本来果たすべき役割や責任を果たしていません。
世界銀行の融資や、日本も多額のODAで途上国を支援してきたと言う方がいるかもしれません。しかし、御承知のように、特に、日本のODAは、その多くが日本の大企業に還元されると、批判されてきました。これは、遠い国の話でも他人ごとでもありません。
なぜ地域は疲弊するのか。北海道の置かれている現状について、域際収支を部門別に分析して見たときに、世界の経済と同じような構造が見えてきます。
なぜ地域は疲弊するのか。働いても働いてもお金が外に出ていってしまう構造に問題があるのではないでしょうか。
知事も、執行方針の中で、域内循環に言及をされています。従来のように、目先の取扱高や入り込み客数のみに踊らされることなく、食産業や観光により、北海道外から外貨を戦略的に獲得し、それをしっかりと地域に回していくことが重要です。
公共事業や工場の誘致、それに補助金といった再分配の仕組みは、確かに、一部は地方の人々の収入につながってきたものの、それらのお金も、最終的に、都 会へ、道外へ流れ出し、抜本的な地域活性化になってきませんでした。しかも、財政悪化、長期的な景気の低迷で、その再分配の仕組み自体も、今、限界に来て います。
財政難を理由に、地方固有の財源である地方交付税に手をつける現在の中央政府の姿勢には、断固抗議をすべきと思いますが、一方で、従来型の再分配に頼らない仕組みを、北海道みずからが一日も早く構築することが求められます。
そうした問題意識のもとで、まず、「エネチェン」について伺います。
石油、石炭、ガスなどのエネルギー関係は、域際収支の中で、自動車などの機械部門に続いて、最も赤字の多い部門です。この部門の自給率を高めることは、北海道の自立に向けて重要です。
とりわけ、農山漁村や、知事も大変関心を持たれている限界集落対策のためにも、実は、こうした地域にこそ、エネルギーの自給率の向上は生命線であり、逆に、ポテンシャルを生かせるチャンスでもあります。
先日、下川町の一の橋集落を拝見してきました。下川町は、既に、公共施設の熱エネルギーの42%を木質バイオマスで自給しており、現在、集落単位でのエ ネルギー自給に挑戦しています。限界集落対策という問題について、光の当て方を変えることで、まさに持続可能なエネルギー自給のモデルになり得る姿を目の 当たりにしてきました。
私は、可能な限り、179市町村の全てが、自治体間の連携協定などによる支え合いも含めて、エネルギー自給100%を目指すことが、北海道の持続可能な発展のために不可欠だと考えています。
知事は、30年後、50年後の北海道の姿に、どのようなビジョンをお持ちなのか、改めて伺います。
省エネ・新エネ促進条例の強化について、知事に伺います。
繰り返し御提言させていただいておりますが、広域自治体の道の役割として、次の持続可能な発展につながるための必要な規制強化が重要だと考えています。
昨今は、規制緩和や補助金が経済振興のための政策とされていますが、適切な環境規制により、技術開発や投資の集中が加速されてきた事例は、諸外国を中心に多くあります。
規制なくして技術革新なし、技術革新なくして発展なし、これを、環境と調和した北海道スタイルの産業振興の鉄則とすべきです。
原子力は過渡的エネルギーである、脱原発の視点に立ってと、既に明記をされている省エネ・新エネ促進条例を持つ北海道知事として、前政権で方向性が示さ れた40年廃炉の原則に立ち、原発の新規立地、増設はしないことを明確にした上で、現在の行動計画を超えて、道としての中長期的なエネルギービジョンを、 道民参加で策定すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、エネルギーの地産地消の取り組みについて伺います。
前回の定例会で、知事から、エネルギーの地産地消を道としても積極的に支援していく考えが示されました。
繰り返しになりますが、人口減少、高齢化など、多くの問題を抱えてきた農山漁村こそ、エネルギー自給のポテンシャルが高いのです。
私は、さらに、都市と農山漁村の関係性、価値観が変わる可能性にも着目をしています。エネルギー地産地消の取り組みから、さらに具体的にエネルギー自給率の目標を掲げて、各地域で連携しながら取り組みを強化していく必要があります。
現在、97市町村で、新エネルギービジョンが策定されていると承知をしていますが、NEDOの補助事業などが終了した中で、今後も、引き続き、道として、全ての市町村に対し、策定を求めていく考えなのか、伺います。
一方、現在、道が市町村を対象に策定している新エネ導入マニュアルの配付や、説明会などにより、幾つかの自治体では、ビジョンの有無にかかわらず、バイオマス発電の導入など、具体的な取り組みが進んでいると承知しています。
より多くの自治体で、エネルギー自給率向上の取り組みが進むための課題を、知事はどのように認識し、今後、どのように取り組むのか、伺います。
私としては、道が作成した賦存量ソフトを、ただ市町村に紹介するだけではなく、道みずからが活用して、シミュレーションでもいいので、エネルギーの自給の地域モデルを示すことも一つだと考えます。
現在の道のエネルギー地産地消導入検討マニュアルは、エネルギー種別になっておりまして、実際に地域に導入する際は、さまざまな組み合わせが必要とされ るというふうに思います。最適な組み合わせをモデルとして提示することも、地域のエネルギー自給率を上げていくための一助となると考えますが、所見を伺い ます。
次に、北海道バイオマス活用推進計画について伺います。
地域のエネルギー自給モデルを検討するに当たって、不可欠なのはバイオマスです。道として、新しい法制度整備のもとで、北海道バイオマス活用推進計画の素案の策定中と承知をしています。
私としては、従来の北海道におけるバイオマス利活用は、中央省庁主導で、ハード面の補助が中心であり、持続可能性や、点ではなく、面での施策展開が不足していたと認識しています。
道としては、新たなバイオマス活用推進計画の策定に当たり、どのような課題認識で、どのような推進体制のもとで取り組む考えか、伺います。
その上で、北海道省エネルギー・新エネルギー促進行動計画などと呼応して、バイオマス活用推進計画においても、地域のエネルギー自給を進めていく考え方や目標が示されるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、「麦チェン」について伺います。
道として、平成21年度から「麦チェン」を掲げ、道産小麦利用率を平成30年に50%にすることを目標に、取り組みが進められていると承知しています。
一方、フード特区構想において、現状では、輸出拡大にスポットが大変当たっておりますが、私は、輸入代替こそ、域際収支を改善し、地域経済の底上げを図っていく上でも重要であると認識しています。
まず伺いますが、道としては、輸入代替全般に向けて、どんな目標と戦略を持ち、今まで、どのように取り組んできたのか、今後、どのように対応していく考えか、伺います。
次に、「麦チェン」についての知事の認識と今後の取り組みを伺います。
知事のリーダーシップのもとに行われた「米チェン」は、当初、4割以下だった道内における道産米利用率が9割となり、道産米のブランドイメージの強化につながったと認識をしております。これは、道庁の一つの成功体験と位置づけてもいいかと私は思っています。
一方、「麦チェン」は、消費者に届くまでに加工が必要な点、日本向けにブレンドされた品質が、一定で、かつ大量に入ってくる輸入小麦が競合相手である点で、この取り組みは非常に困難があると認識をしています。
その中で、今、地域において、小ロットの製粉が可能になったことをきっかけに、付加価値の高い道産小麦100%の加工、販売や、道産小麦製品を扱う飲食店などが、少しずつですが、ふえており、これまでの現場関係者の努力に心から敬意を表します。
知事は、こうした現場関係者の努力を踏まえて、「麦チェン」の意義と課題についてどのように認識し、これまで、どのような取り組みをされ、今後、どのような方向性で「麦チェン」を進められていくのか、伺います。
また、先ほど他会派の御質問にもありましたけれども、私は、農政部を中心として、例えば、輸入小麦と同じ強み、つまり、大量ロット、安定、安価で取扱高 をふやす発想よりも、むしろ、少量ロットで、売り先を想定した中での付加価値の高い「麦チェン」の強化に向けて、試験研究、製粉、加工、小売などが一体と なった強化策が、小麦の輸入代替を着実に進めるためにも重要だと考えますが、知事は、それぞれの現場を今後どのように支援していく考えか、伺います。
最後に、森林の利活用と「木チェン」について伺います。
まず、道有林の活用についてですが、道は、平成14年度に、道有林の会計を、特別会計から一般会計化しました。道有林を丁寧に保全することを重点に、森林づくりを進めてこられたと承知しています。
知事は、本年6月に、北海道森林管理局と、森林づくりに関する覚書を締結し、森林づくりを支える山村地域の振興のため、今後、国有林、道有林、自治体有林、民有林の別なく、森林を地域活性化の重要な資源として活用していく決意と受けとめています。
また、条例においては、行政の多くが10年単位でしか物を考えない中で、100年先を見据えた森づくりをすると定められています。さらには、北海道の森林は、全国の4分の1を占め、天然林が多いことも、その特徴と言われています。
私としては、道が率先して、道有林を重要な資源として、多面的に活用することが必要であると考えますが、知事の認識とともに、今後、どのように道有林を管理、整備されていく考えか、伺います。
次に、木育について伺います。
森林の利活用に当たって、私が大変重要だと考えるのが、森林の教育的価値です。木育は、道民の皆さん、そして道庁が協働でつくった北海道スタートの概念です。
木育とは、子どものときから木と触れ合い、木に学び、木と生きることで、人と木や森とのかかわりを主体的に考えられる豊かな心を育む取り組みとされています。森は、東京、大阪には決してまねのできない教育や観光を生み出せる北海道の強みでもあります。
しかも、北海道の子どもたちの学力、体力の向上や、主体性、協調性の強化も喫緊の課題として、今道議会なども含めて議論されているところですが、専門家からは、遊びの欠如も指摘されているところです。
都会でも田舎でも、子どもたちの遊び場だった道路は、昭和30年代を境に、急速に車に奪われ、それと同時に、テレビやゲームなどの普及が、完全に子どもたちを遊びから切り離したと指摘されています。
そして、今、いわゆる外遊びを知らない世代が親になり、教育者になるという時代です。残念ながら、今の子どもたちをただ野外に連れ出しても、しっかりし たプログラム、指導者が存在しなければ、半数の子は自然に外遊びができない状況にあります。その失われた遊びを取り戻す力が木育であり、森林にあるのでは ないかと私は考えます。
平成17年から、関係者が粘り強く創意工夫しながら、木育マイスター制度や植樹運動などが展開されてきたと承知をしています。
知事は、北海道発の木育のこれまでの取り組みの成果についてどのように捉え、今後、どのように展開される考えか、伺います。
次に、森林の価値の発信について伺います。
私としては、道が、これまで木育を通して伝えてきた木のよさや、知事もしばしば言及されてきた森林の価値の具体的な中身を、より科学的に検証し、発信することが必要だと考えます。
例えば、森林浴は予防医療につながること、木造の学校は、いじめや不登校の発生率が少ないと言われていること、また、下川町などで実践されている、学齢 前からの体系的な森林環境教育などのよさが、感覚的ではなくて、より科学的に発信されるべきです。現状はどのようになっていて、道としては、どのように取 り組まれてきたのか、伺います。
また、道としては、大学や試験研究機関と連携し、さらに戦略的な発信をすべきと思いますが、見解を伺います。
次に、「木チェン」について伺います。
道産木材の利活用に関しては、いわゆる地域材利用の一環として進められてきましたが、私は、「麦チェン」と同様に、外国産材から道産材への利用拡大、い わゆる「木チェン」もより重要な施策として、木育の進化とあわせて、より強力に知事が先頭に立って取り組みを進めるべきと考えます。
我が会派の代表質問の御答弁においても、コンビニエンスストアで木材利用のものができるなど、機運が高まっているとお答えいただいたところですが、この機運をどう捉え、どう行動するかが重要ではないでしょうか。
例えば、国定公園内のコンビニエンスストアの建物は木造とすることを優先し、積極的に対応した企業を道として表彰することも考えられます。
また、中標津空港などでは、看板以外は木造で、道外のお客様から評価が高いと聞いています。一度は来てみたい北海道から、もう一度来たい北海道へ着実に 進化するために、観光客にとっても、北海道のブランドイメージを損なわない、本物の景観やライフスタイルが求められています。
「木チェン」の戦略的な強化は、北海道の観光振興にも寄与することであり、ぜひ、道庁全体で、より強力に取り組みを進めていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
また、「木チェン」を進めるためには、住宅政策などの抜本的な検証も必要ですが、当面、小さな村ですが、西粟倉村で開発されたような、持ち家ではない、 賃貸住宅の人や貸しテナントでも敷ける木製の床タイルなど、使う側の視点に立った、そして、木を使ってくださる人をふやすような新たな製品開発なども必要 と考えますが、現在の取り組みと今後の展開についてどのように考えているか、伺います。
以上、再質問を留保して、1回目の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)

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