活動報告

平成25年決算委員会 ~生涯学習の検証など~

2013年11月12日

広田まゆみ君。
○広田まゆみ委員 生涯学習の推進について伺います。
従前から、北海道らしい生涯学習のあり方について質問を重ねてきたところです。
平成24年度の生涯学習推進施策の実績と施策評価について、どのような目標を掲げ、どのような事業を実施し、それをどのように評価しているのか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 生涯学習課長浅井真介君。
○浅井生涯学習課長 生涯学習推進施策に関してでございますが、道教委では、北海道らしい生涯学習社会の実現を基本目標として位置づけ、生涯学習活動の促 進、社会教育活動の推進、社会教育推進のための基盤整備等の施策に取り組んでおり、具体の事業としては、道民の多様な学習ニーズに対応するため、さまざま な学習機会を体系化した道民カレッジ事業や、地域づくりに参画する青少年リーダーを養成する青少年活動リーダー養成事業、道立図書館から市町村立図書館等 に対する協力貸し出し、青少年教育施設でのさまざまな体験学習プログラムの提供などを行っております。
こうした施策について、平成24年度の点検評価では、道民カレッジの連携講座数が都市部に集中していることや、リーダー養成プログラムについて、より実 践につながる工夫が必要などの課題がある一方で、道民カレッジの受講者数については増加傾向にあることや、道立図書館から市町村立図書館への貸し出し冊数 が増加しているなどの成果が見られております。
○広田まゆみ委員 私は、今まで、北海道らしい生涯学習が大変総花的であるということと、サービスの受け手がシニア世代に集中し過ぎているのではないかと いうことを指摘してきたところですが、道民カレッジの受講者数について増加傾向にあるという御答弁がありましたけれども、平成23年度からの受講者の年齢 構成はどのようになっているのか、道民カレッジの学生の年齢構成とあわせて伺います。
○佐々木俊雄委員長 生涯学習推進センター担当課長村田智己君。
○村田生涯学習推進センター担当課長 道民カレッジの受講者等の年齢構成についてでございますが、道民カレッジに登録している学生の年齢構成は、平成23 年度、24年度とも、70歳代以上が約30%と最も多く、次いで、60歳代が約18%、50歳代が約13%、40歳代以下は合わせて約30%などとなって おります。
また、講座の受講者の年齢構成は、実施状況調査の回答者について見ますと、平成23年度は、60歳代が約37%と最も多く、次いで、70歳以上が約32%、50歳代が約13%、40歳代以下は合わせて約18%となっております。
平成24年度は、60歳代が約36%と最も多く、次いで、70歳以上が約28%、50歳代が約13%、40歳代以下は約23%となっております。
○広田まゆみ委員 私が申し上げるまでもなく、教育サイドの皆さんですから、今の子どもたちが抱えているさまざまな状況はよく御存じだというふうに思うの ですが、道の単独事業である生涯学習事業は、シニア世代を、サービスの受け手とするのではなく、例えば、美術館や博物館のボランティアへの参加だとか、読 み聞かせボランティアですとか、支援を必要とする子どもたちへの学習ボランティアなど、サービスの担い手として参加させるということを主体に組み立てるべ きと、これまで議論してきたところです。
繰り返しになりますが、私は、子どもたちの現状から、学齢前からの体系的な読書、食育、森林環境教育など、重点を絞った体験学習などを通して、子どもた ちの可能性を支援するということを、道において、北海道らしい生涯学習の重点として明確に打ち出すべきと考えますが、見解を伺います。
○浅井生涯学習課長 生涯学習推進の重点についてでございますけれども、生涯学習の推進では、さまざまな分野で、幅広く道民の方々に学習の機会を提供する とともに、道民の方々が生涯学習で得た知識や経験を生かし、子どもたちの学びや成長を支援することなどにより、人づくり、地域づくりに生かしていくことが 大切であり、生涯学習で学んだ方々が、知識、経験を生かして、社会教育施設等の体験活動や放課後子ども教室等で、指導者として学習成果を生かした取り組み を行っております。
こうした中、道教委では、子どもの読書習慣定着に向けた、関係団体等との協働による朝読・家読運動の展開、家庭における食習慣の定着に向けた、北海道家 庭教育サポート企業等と連携した「早寝早起き朝ごはん」運動の推進、また、道立青少年教育施設では、環境教育の視点を取り入れた体験活動や、幼少期から英 語に触れるジュニアイングリッシュキャンプなどを実施しており、今後も、こうした取り組みの充実を図り、子どもたちの体験活動を支援してまいりたいと考え ております。
○広田まゆみ委員 種々の取り組みはされているようなのですが、イベント的な印象を受けるのです。やっぱり、教育サイドとしてしっかりかかわっていくとい うことでは、体系的な仕組みづくりということを、最初は面ではなくても、点でも、しっかりしていくことが必要だと思うのです。
例えば、現在、道において、北海道食育推進計画や環境教育等行動計画などの策定がされていると承知していますが、北海道らしい生涯学習ということを考えたときに、この二つは欠かせないと私は思うのですけれども、道教委としては、どのようにかかわっているのか、伺います。
○浅井生涯学習課長 道教委のかかわりについてでございますが、道教委では、食育、環境問題等、家庭や地域社会を取り巻くさまざまな課題に対応するため、行政はもとより、学校、家庭、地域が相互に連携協力することが必要と考えております。
こうしたことから、現在、知事部局で検討が進められております北海道食育推進計画や北海道環境教育等行動計画の改定に当たっても、道教委から検討メンバーとして参画し、学校や家庭での取り組みについて必要な意見を述べるなど、計画策定に加わっております。
道教委といたしましては、今後とも、生涯学習施策の推進について、関係部局と一層の連携を図ってまいりたいと考えております。
○広田まゆみ委員 何回か議論させていただいているのですけれども、どうしても生涯学習というものが総花的になるのであれば、ちょっと視点を変えて、道立図書館について伺いたいと思います。
なぜ、道立図書館について伺うかというと、道みずからが、生涯学習センターの拠点として道立図書館を位置づけていると承知しているからです。交付税措置 等の際に、図書館について、中央政府の基準があると思うのですが、道立図書館における平成24年度の資料整備に係る実際の支出と比較して、その基準がどの ようなっているのか、伺います。
○浅井生涯学習課長 道立図書館の資料整備費についてでございますが、平成24年度、道立図書館では、資料整備費として3296万9000円を支出しております。
なお、地方交付税制度における単位費用として、人口170万人の標準団体における県立図書館の図書及び視聴覚資料購入費は5253万8000円と積算されております。
○広田まゆみ委員 今の御答弁で、170万人の標準団体における県立図書館の図書及び視聴覚資料購入費は約5000万円ということで、実際に道立図書館に は3000万円程度しか支出されていないわけですよね。道立図書館というレベルでいけば、170万人だから、単純に3倍しても、約1億5000万円が本当 は必要なのですよね。
私自身は、生涯学習本部がきちんと重点を挙げて焦点を絞れないのであれば、そもそも生涯学習センターそのものが必要ないのではないかというふうに思っています。
生涯学習は、本部長である首長が明確な意思を持って、初めて機能すると思いますが、残念ながら、これまでの議論の中で、知事にはそれが期待できないと思っています。
それであれば、道みずからが、生涯学習センターの拠点として位置づけている図書館の中でも、道立図書館を生涯学習本部と位置づけて、これは図書館の現場 にとっては逆に重たい話になると思いますけれども、道を初めとする公共図書館、また、学校図書館を含めた図書館が、地域に開かれた図書館として、レファレ ンスサービスを含めて充実していくということこそが、地域の道民の生涯教育に資することではないかというふうに私は思いますが、見解を伺います。
○佐々木俊雄委員長 生涯学習推進局長山田寿雄君。
○山田生涯学習推進局長 図書館の充実についてでございますが、生涯学習の推進では、全ての道民が、生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所におい て学ぶことのできる学習環境の整備や、学習活動を支援するための推進体制の充実を図っていくことが必要であり、とりわけ、学習活動の拠点となる図書館など の社会教育施設の機能の充実は重要であると考えているところでございます。
このため、道教委では、これまでも、道立図書館による運営相談や図書の貸し出しなど、市町村立図書館への支援に努めてきておりますが、今後とも、市町村 でのブックフェスティバルの開催や学校図書館の環境改善への支援、市町村立図書館職員、学校図書館担当職員への研修機会の提供など、道立図書館の機能充実 に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○広田まゆみ委員 余りお答えになっていないのですけれども、道みずからも、道民カレッジの連携講座数が都市部に集中していることなどを課題として挙げていらっしゃいます。
それでいけば、広域自治体の道として、今やるべき生涯学習というのは、もちろん、図書館の現場の人の意見も聞かなければいけないと思いますけれども、図 書館を生涯学習本部としてしっかり位置づけて、地域に根差した北海道らしい生涯学習について、自治体ですとか、森林環境教育の現場だとか、いろいろな NPOと連携して、地域に拠点をつくっていくことをしっかりするということも一つの方策だと私は思います。
もし、どうしても生涯学習本部をつくりたいのであれば、今のようなシニア世代対象のサービスを提供するということは、単費ですから――子どもたちの今の 危機的な状況は、皆さんのほうが御承知ですよね。ひきこもり予備軍も多い。大人たちが、近代化の中で、子どもたちの遊ぶ場所やさまざまなコミュニティーを 奪ってきたわけですから、それを体系的にプログラムとして保障しなければいけない状態が今生まれていることに対する危機感と、皆さん自身がそれを解決し得 る力がある場所にいることを認識して、生涯学習のあり方をぜひ考えていただきたいと思います。
また、学校のために教育庁や教育委員会があるわけではありませんから、学校の中だけで解決できないという自覚を持って、外に対して開いたさまざまな施策 をしていくという意味でも、生涯学習のあり方について、学校の弱さの情報公開をして、環境教育とか食育など、関係部から必要な支援をしっかり受けていくと いうような視点も必要だと私自身は思っております。
繰り返しになりますが、それができないのだったら、図書館をしっかりやったほうが、道民の未来と子どもたちの未来、地域の未来に資するというふうに私は思っておりますので、それを指摘いたしまして、質問を終わります。

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