活動報告

平成26年度決算特別委員会 保健福祉部所管 薬物依存と薬物濫用対策について

2014年11月10日

道における薬物依存症対策と薬部濫用対策について

(1) 道内の自助グループの状況などについて

依存症対策について、その家族から、地域で相談を受けることが増えている。特徴的なのは、覚醒剤などで再犯を繰り返すなかで、家族も高齢化し、行政のはざまで、サポートに苦慮しているケースだ。

私は、これからの福祉施策のあり方として、当事者によるピアサポートが有効であるという持論があるが、この依存症対策においてもそれは同様であると考えます。まず、道内における薬物依存患者の状況をどのように把握されているのかうかがいます。
あわせて道内の自助グループの状況をどのように把握され、どのように連携・支援をされているのかうかがいます。

(回答)
厚生労働省患者調査によると、道内の薬物を含めた精神作用物質による依存症の患者数は、3000人と推計されており、また、薬物関連の自助グループは、現在、17団体あると把握しているところ。
依存症の回復過程においては、当事者同士が依存に関する共通の問題について語り合う、ピアサポートや自助グループへの参加が有効であり、地域の自助グループの活動を促進することは大変重要と認識。
このため、道においては、精神保健センターや保健所がこれらの自助グループが実施するミーティング、セミナーへ助言者として出席するほか、道の研修会においてその活動内容を紹介するなど、自助グループの育成・支援に努めているところ。

(2)薬物依存対策の現状と課題
道においては、薬物依存対策の課題をどのように把握し、どのように取り組みをされているのかうかがいます。

(回答)
薬物依存を含めた依存症については、専門医療機関や自助グループが少ないことなどから、継続した支援が困難な現状もあり、地域における相談支援体制の整備が大きな課題と考えているところ。
こうしたことから、道としては、精神保健福祉センターや各保健所が薬物依存症者やその家族からの相談など個別支援を行うほか、道内2カ所のモデル地域にお いて、保健所を中心として、医療機関、保護観察所等の関係機関や自助グループなどと連携する中で、地域の支援者に対する研修会やフォーラムを開催し、依存 症に関する普及啓発に取り組んでいるところ。今後においては、こうしたモデル地域の取り組みを全道に広げるほか、各保健所に配置する「家族支援員」の活用 を図るなど、依存症患者やその家族を支える相談支援体制の充実に努めてまいる。

(指摘)
平成25年度には、中央政府から約300万円の全額補助の事業があったが、今後は、財源がなくなったことによる対応とは承知をしています。
指摘ですが、「支援」も一方的に上から下に支援するという従来の発想ではなく、浦河などで実践されている「当事者研究」のように、当事者から学ぶという姿 勢が、行政の仕事を見直し、当事者のエンパワーメントのために重要だと考えます。薬物依存対策と濫用対策のためにも、依存にいたった当事者自らの経験や、 「自分自身の助け方、助けられ方」を当事者から学ぶことが重要である

(3) 薬物濫用防止対策について
道としては、25年度に、薬物濫用防止対策として、大麻取締法に基づき、野生大麻の一斉抜き取りなどを行っていると承知をしているが、その実績と成果に関して、どのように認識されているのかうかがいます。
また、民間土地所有者に対しても、大麻一斉抜き取りの要請をしていると承知をしているが、その根拠は何かうかがいます。

(回答)
道においては国の要綱を受け、野生大麻・不正けし撲滅運動方針を策定し、野生大麻の除去などを実施している。
過去5年間の除去実績を見ると、平成21年度に約200万本をピークに、平成25年度は約66万本と減少していることから、一定の成果があると考えているところ。

また、土地所有者がその土地に免許または、許可なしに栽培が禁止されている大麻の自生を発見したときには、乱用者がこれを盗取して使用する怖れがあることから、放置することなく発見次第、抜去などにより処理するよう運動方針に基づき指導しているところ。

再質問

質問は、大麻の抜き取りが薬物濫用対策にどのように効果があったかと聞いたのですが、そもそも、事業 の成果として、大麻の抜き取り本数をお答えになるところが、ほんとうに道民のために仕事をしているのではなく、習慣としてではありますが、厚労省の方を向 いて仕事をしているという証左になると私は思うわけです。
再度、うかがいますが、野生大麻抜き取りによって濫用防止対策にどのような効果があると考えて、決算額としては、職員の人件費を除いて、400万円程度とは承知をしていますが、
事業を実施し続けているのかうかがいます。

(回答)
道においては、多数の野生化した大麻の自生が見られ、自己吸引や密売などで自生の大麻を採取する者が、後を絶たないことから、野生大麻の一斉除去については、薬物濫用防止の観点から効果があると認識しているところ。

(指摘)
そもそも、先ほどの議論でも、薬物依存症患者の実態把握やヒヤリングが不十分であった。よく大麻をゲートウエイドラッグと位置づけて根絶をとの議論もあるが、世界各国の情勢からも、科学的根拠も乏しいと私は認識している。そこで、次の質問に移ります。

(4) 大麻取締法に基づく大麻草の抜き取りについて
大麻取締法に関して、大麻草全体の保持が禁止をされているのが、いわゆるマリファナとなるTHCの薬理成分が入っているのは、若い葉や種子の部分だけに限られており、一斉抜き取りは、科学的根拠に乏しいと考えるが、いかがかうかがいます。

(回答)
大麻取締法では、大麻の精神作用成分であるテトラ・ヒドロ・カンナビノール、いわゆるTHCの含有量にかかわらず、大麻取扱者免許のない者は、その栽培が禁止されており、法の趣旨に基づき、野生大麻を除去しているところ。

再質問
大麻取締法の不備について
法令遵守という観点でのご答弁であったと思いますが、他の麻薬及び向精神薬取締法などと比較すると、他の麻薬については、化学式も明示した薬理成分が法に おいても明確に示され、取締の根拠となっているのに対して、大麻取締法に関しては、カンナビス・サティバ・エル、いわゆる大麻草という植物全体が規制対象 となっており、科学的根拠に乏しいといわざるをえない。
また、同じような化学式などが、法のなかに明示されていないあへん法との比較においても、その有用性に基づいて、医療的に使用する場合の栽培や流通の経路が確立をされているのに対して、大麻草に関しては、それも確立をしていない。
その不備な法律によって、民間私人に規制をしたり、義務を課したりしているわけです。
その点からも、大麻取締法に対する道としての見解を再度うかがいます。

(回答)
大麻取締法に対する認識についてでありますが、大麻の規制は、昭和5年に制定された「麻薬取締規則」により、麻薬に指定されたことにはじまり、昭和20年 のポツダム省令において栽培、輸入、輸出が全面的に原則禁止されたが、当時、衣料原料等への需要への応需が必要であったことから昭和22年に繊維や種子の 採取と研究目的に限定して栽培を認めるとした「大麻取締規則」が制定され、昭和23年には、医療用の麻薬の取扱を麻薬取締法で規定するとともに、大麻栽培 や研究を国の免許制とする「大麻取締法」を制定したところ。
また、大麻取締法については、目的の明文規定はないが、同様の法の目的を持つ、麻薬及び向精神薬取締法や、覚醒剤取締法と同様に、大麻の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって、公共の福祉の増進を図ることを目的としていると解することができ、
道としても、大麻取締法を遵守することは、道民の健康と福祉に寄与すると考えているところ。

(5) 大麻草の実態調査について
そもそも、日本がアメリカの占領下になる前は、北海道においても国策として、大麻草の栽培が行われていたと承知をしている。現在の野生大麻は、その種子が 繁茂し続けているというのが通説である。普通に、大麻草が栽培をされていたときに、道内においてマリファナなどの薬物依存が蔓延したというような事実が あったのか、うかがいます。
また、大麻草の薬理成分については、現在は、簡単なキットで検証できるなど、戦後まもなくの頃と異なり、科学的知見も高まっているにもかかわらず、現在、 繊維や化石燃料の代替として世界的に注目されている大麻草に関しての成分や生育状況の調査など、科学的な調査が行われていないまま、一斉抜き取りのため に、ただでさえ、多岐にわたる業務に追われている保健所の職員や、厳しい財政状況のなかで、400万円程度であるにしても、漫然と、税金が使用され続けて いることに、疑問を感じるが、道としての所見をうかがいます。

(回答)
北海道では開拓使時代以来、開拓農家の収入源として、大麻や亜麻が導入されたが、北海道の気候が亜麻工作に適していたことから、その生産は、亜麻に移行 し、昭和初期には大麻の栽培は、ほとんど行われなくなったと承知しているが、当時、大麻による薬物依存が蔓延していたかについては、把握していないとこ ろ。
また、北海道では、多数の野生化した大麻の自生が見られ、自己吸引や密売などで自生大麻を採取する者が、後を絶たないことから、野生大麻の一斉除去については、有効であると認識しているところ。

(6)大麻草栽培の試験免許について
現在の試験栽培にあたり、高い塀が義務づけられる根拠は何か?
実際に栃木県では、薬理成分がないという「トチギシロ」という品種について、正確な知識を啓発することで、塀がないなかで栽培が行われている。
そもそも、現在、検討会で議論中ではあるが、産業化試験が今後も進展するなかで、栽培などのノウハウがない保健福祉部サイドで、その栽培のあり方や基準を指導するのは適切ではないし、道民の利益につながらないと私は判断するがいかがかうかがいます。

(回答)
大麻に係る盗難防止措置についてでありますが、
大麻取締法は、THCの含有量にかかわらず、免許のない者は大麻の所持等が禁止されており、大麻取扱者免許の審査にあたっては、大麻の濫用による保健衛生 上の危害を防止することも含め、盗難防止対策が十分になされているのかどうかを検討することとされているところ。このため、道においては、審査基準におい て、栽培地や栽培に伴う施設等には盗難防止の措置を講ずることとし、指導要領において、栽培地の周辺には、人がみだりに立ち入ることができないよう、堅固 な策を設けていることとしているところ。
また、大麻取扱免許の審査については、農業や繊維業、研究などを目的として栽培しようとすることに十分な合理性があることや、保健衛生上の危害を及ぼすおそれがないことなどを審査するほか、栽培など技術的な事項については、庁内関係部局が必要に応じ、対応しているところ。

(再質問) 大麻草栽培の免許について
麻薬や抗精神薬の有用性は重要である反面、ひとたび濫用されると、乱用者個人の健康だけではなく、社会的にも大きな弊害をもたらすことになるのは、私も認識しており、ただ、軽々に大麻解禁などを論じているのではありません。
私は、すべての薬剤、化学物質は、基本的には、人間や自然環境にとって、「毒」であるという認識に立っています.その上で、その副作用を含む功罪などについて、情報をしっかり提供をしていくことこそが重要だと考えています。
高い塀を立てて隠したり、たとえば、北海道立試験研究機構における試験栽培箇所などは非公開とされているなど、科学的調査をしないで、ひたすらに隠そうとする行為は、大麻草に関する正しい知識を啓発するためにも、逆効果と考えますが見解をうかがいます。

(回答)

大麻取扱者免許の交付に際し、大麻取扱者の氏名については、プライバシー保護の観点から公開を前提としておらず、また、大麻取扱者が栽培し、または、所有 する大麻については、盗難当自己の危険性が発生する怖れがあるため、盗難防止対策を十分に行う必要があることから、非公開としているところ。

(指摘)
昨今、危険ドラッグに関する条例整備なども、9都府県で行われており、とくに大麻草の自生に関しては、全国的にも顕著な事例であります。大麻草の取締と有 効活用に関する条例などの法制度整備とともに、依存症対策、濫用対策のあり方を抜本的に見直すよう強く指摘を申し上げます。
あわせて、保健所の業務のあり方としても、ほんとうに広域自治体の保健所としてするべき業務に現場が集中できるよう、業務を精査すべきなのではないでしょうか?
繰り返しますが、道庁職員が、ひたすらに野生大麻を抜き取るということが、ほんとうに薬物濫用対策になっているとは思えませんし、道民の福祉と健康に寄与している税金の使い方とは決して思いません。
それが本庁サイドとしてしっかり検証できないのであれば、道庁の保健福祉部は、単なる厚労省の出先機関かというそしりは免れないのではないでしょうか?
改めて、また、みなさんと議論を深めさせていただきたいことを申し上げて質問を終わります。

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