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誰かの支えに~非援助論の一端

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本日は浦河町にいる。浦河町は私が22歳から約10年を過ごした町である。で、さまざまな思い出が満載で、何から書いたらよいか迷うくらい。ただし、この 1000日分の日記を書くということに挑戦した時点で、なぜか、思い出話が多くなってしまい、方向性を考えているところなのだが、今日ばかりは、心置きな く書いてみたい。

浦河べてるの家は不思議なところだ。精神障害という、いわば、苦労の最先端のようなところにいる人たちが、順調に問題だらけで、いわゆる完治したわけでもなく、病気とつきあいながらも、いきいきと楽しく生きている。ひょっとすると、羨ましいと思ってしまうくらいだ。

この浦河べてるの家とその周辺の活動は、
私にとって大きな学びであった。
その大きな一つは、ものさしや基準、光のあて方によって、問題の解決の方法や問題の存在自体も変わることだ。一つの事例としては、今までの医療の事例であ れば、決して、病院の外に一生でられないという人たちが、どんどん、地域の外で暮らし始めるその現場を間にあたりにしたことだった。もちろん、さまざまな 問題はある、私自身、ある当事者が発作をおこした時に、私は身動き一つできなかったが、その時に、その発作をおこした人の身の安全を保持し、私にも、気を 遣って声をかけてくれたのは、その場にいあわせた別の当事者だった。その当事者は、つい先日まで、長期入院が必要という診断が下されていた人だった。
その当事者の2人とも、今も、いわゆる病気のままだが、元気に地域で生活し、仕事をとおして地域にも貢献している。
私たちが、常識だ、あたりまえだと思っていることは決して当たり前ではないし、どんなに力がないと見える人であっても、周囲の環境しだいで素晴らしい力を発揮できることを体感した。

そして、もう一つの出会いは、浦河べてるの向谷地ソーシャルワーカーの非援助論だ。実は、私自身がその意味を実体験しているのだ。私は、いわば、燃え尽き るような形で、また、自分探しにために、道庁を退職し、試行錯誤の過程で一度向谷地さんのところに、当時、有名になりはじめたべてるの「成功」の秘訣を聞 きに、インタビューに来たことがある。
その時に、自分自身の状況について、「私は、周囲の人の期待を自分のやりたいことだと思い込んでがんばってしまうくせがある」と話した時、向谷地さんは、即座に、「広田さん、それは能力です」と答えた。
この感じが読んでいるみなさんに伝わるだろうか?
一瞬も、相手を被害者のドラマのなかにはおかないし、自分自身もそれにまきこまれないのである。わたしは、その時に、自分でも無意識のうちに「子どもの頃からがんばっていた自分」をかわいそうだと、そこに、共感してもらえることを期待していたのだ。
向谷地さんが、のちにまとめられる「非援助論」という相手の力をある意味で尊重しきる支援のあり方の一端に触れた気がする。

政治家もそうだが、さまざまな人の支援をする立場にある人は、立ち止まって考える必要がある。さまざまな相談をいただいた時に、弱者のドラマにつきあって いないか、まきこまれていないか、あるいは、もっと厳しく言えば、利用してそこから栄養をもらっていないのか、ほんとうに、その人の力を信じているのかど うか、振り返ることは大事だと思う。
当事者主体ということの意味を改めて強く実感する浦河の夜である。

 この記事の投稿者

広田まゆみ

北海道の自立と未来のための志事人、広田まゆみです。
函館生まれ札幌育ち。現在は、白石区在住で、北海道議会議員として活動中。

札幌市立向陵中、札幌西高、北海道大学を卒業後、北海道庁職員として、日高管内浦河町で生活保護のケースワーカーが最初の仕事です。
その後、労働組合の女性部長なども経験し、自分探しが高じて、11年務めた道庁を退職。
空知管内の雨竜町に移住します。

約8年、農家民泊や、農作業ボランティアのコーディネートなど都市と農村の交流を推進するNPO活動に従事した後、道庁の労働組合時代のご縁で、政治の道を選びました。

だいたい10年ごとに大きな転機があった私ですが
これからの人生の時間は、社会企業家的地方議員を100人つくることをはじめ、こどもたち、若い人たちを応援することに集中したいと思っています。

プライベートでは、気ままなひとり暮らしを満喫中。
大の温泉、銭湯好き。
チャンスがあれば、エネルギー独立型のエコ銭湯を経営してみたい。
完全なワーカホリック、働きすぎ人間ではありますが、最近は、ヨガにはまっています。
地域のヨガサークルで週1回教えられるような70歳になってたら嬉しいですね。

他には、着物、ヨガ、旅、ハガキ絵、「館」めぐり、そして、やっぱり、北海道の未来のために働くことが大好きです。

ドラッカー読書会FT。91期エクスマ塾生。
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