活動報告

平成25年決算委員会 ~森林環境教育の現状など~

2013年11月8日

○広田まゆみ委員 協働の森林づくりと道民の森の活用について伺います。
まず、協働の森林づくりについてですが、道民、企業などの幅広い方々との協働による森林づくりを進める取り組みと承知しています。
協働の森林づくりについて、これまでに実施した取り組みの状況と成果について、まず伺います。
○佐々木俊雄委員長 森林活用課長石本雄一君。
○石本森林活用課長 協働の森林づくりの取り組み状況などについてでありますが、平成19年度から23年度までの最近5カ年間の全道の実績を見ますと、道 民の方々などによる植樹、育樹の本数は、約98万本から約82万本へ、参加者数は、32万人から40万人へと、また、青少年向け森林教室等の実施校は、 287校から259校へと、年度により若干の増減はあるものの、総じて横ばいで推移をしております。
また、企業等と森林所有者が協定を結び森林づくりを進める、ほっかいどう企業の森林づくりについては、3件46ヘクタールから、33件497ヘクタール へと、毎年、協定が積み上げられ、道が育成している木育の指導者である木育マイスターの認定は、平成22年度から3年間で、114名に達しております。
道といたしましては、緑化団体や学校行事による植樹、育樹は、全道的に定着し、また、企業の森林づくりへの理解が広がりつつあり、指導者の育成も着実に進んでいると考えております。
○広田まゆみ委員 私としては、イベント的な植樹、育樹から、より深化した取り組みが必要だと考えております。
そこで、協働の森林づくりを推進する上で、道として、課題をどのように認識し、これまでの実績を踏まえて、どのように平成25年度に臨んだのか、伺います。
○石本森林活用課長 平成25年度の考え方などについてでありますが、協働の森林づくりを一層推進していくためには、子どもたちが森林に触れ合い、学ぶ機 会が減少していることや、ボランティア団体などが活動する身近な植樹、育樹の場が減少していること、企業に森林づくりへの参加を促す企画が不足しているこ となどが課題となっていると考えております。
このため、道といたしましては、今年度から、植樹活動に木育マイスターを活用して、木材のよさや森林の大切さを体験学習する新たな事業を創設し、小中学生等が森林と触れ合い学ぶ取り組みを充実させております。
また、森林ボランティア団体に対しては、これまでの市町村の「げんきの森」や、道有林の「みらいの森」に加え、新たに、国有林の「遊々の森」も活用する ことにより、身近な活動の場をふやすとともに、企業に対しては、販売する商品を一定以上購入すると、木育マイスターにより、植樹や木工を体験できる新たな 取り組みを始めたところでございます。
○広田まゆみ委員 北海道森林づくり基本計画の中でも、木育の理念を基本として、道民、企業などの協働による森林づくりを推進すると書かれております。
私としては、諸外国の事例などを見ると、やはり、体系的なプログラムの実施や人的体制の整備、ネーミングライツなども含めた外部資金の導入も必要と考え ます。そのためには、当面、研究機関との連携や、企業の外部資金を活用した協働の森林づくりを進めるべきと考えますが、いかがか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 森林観光局長濱田修弘君。
○濱田森林観光局長 研究機関との連携などについてでありますが、道では、これまで、国の森林総合研究所や道総研と連携し、木造の建物は人のストレスを軽 減するという研究成果などをインターネットで発信することや、木育マイスターの育成を進めてきておりまして、今後は、森林の価値への理解が一層深まります よう、新たな研究成果を収集し、科学的にわかりやすく発信するとともに、マイスターがこれまで以上に活躍できるよう、木育体験プログラムの種類や内容を充 実させてまいりたいと考えております。
また、道では、企業が経費を負担して森林整備を行う、ほっかいどう企業の森林づくりの取り組みを進めておりますが、今後は、企業にとって一層PR効果の 高い取り組み、例えば、先日発表された、コープさっぽろとサッポロビールの2社が連携して、道有林のカーボンオフセットの仕組みを使い、森林整備に資金を 提供するという取り組みなどを進めることにより、今まで以上に森林づくりに対する企業の参加を促し、道民との協働の森林づくりを進めてまいりたいと考えて おります。
○広田まゆみ委員 今御答弁をいただいたような取り組みを重ね、道内大学や自治体とも連携協定などをしっかり結び、森林の教育効果が実証できるような森林 環境プログラムなどを、企業などの支援を受けながら進めるべきと私は考えておりますので、検討について指摘させていただきたいというふうに思います。
次に、協働の森林づくりに関する道の役割と拠点の確保についてであります。
協働の森林づくりを進めるため、道として全道展開を進めていることは承知しています。その中で、道の役割は大変重要であります。道有林そのものが大変不 便地にあるということは承知をしていますが、道有林が、そのモデル、拠点となるような場所も必要ではないか。新しい森林環境教育の体系的なプログラムとし て、より深化した木育、森林環境教育の拠点となるような場所も必要ではないかと思うところでありますが、見解を伺います。
○濱田森林観光局長 協働の森林づくりに係る道の役割などについてでありますが、道民との協働の森林づくりを進めていくためには、道が、森林の働きや木の よさ、各地で行われる植樹、育樹の開催案内など、さまざまな情報を発信することや、植樹などを企画するNPO、ボランティア団体などと、資金を提供する企 業との橋渡しをするコーディネーター役を担うことが必要でありますが、道民の方々が手軽に森林や木材と触れ合い、森林、林業を学ぶことができる場所を提供 することも、道の役割の一つと考えております。
道といたしましては、特に、道がみずから整備し、道民の方々の活用に供している道民の森について、青少年の学習や道民の自発的な活動に取り組む拠点として、今後も積極的に利用を進めてまいりたいと考えております。
○広田まゆみ委員 今御答弁にもありました道民の森の活用についてですが、協働の森林づくりを進める上で、道民の森の役割は大きいと私も認識をさせていただいております。今後も、道民のために、より有効に、十分活用する必要があると考えます。
そこで、道民の森の活用について、特に森林環境教育に絞ってお伺いしたいと思いますが、平成24年度の、道民の森における森林環境教育事業の実績はどのようになっているのか、また、道として、その実績をどのように評価しているのか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 緑環境担当課長田林佳彦君。
○田林緑環境担当課長 森林環境教育事業の実績と評価についてでありますが、道民の森におきます、小中学校や緑の少年団などによる森林環境教育の利用状況 は、平成24年度で131件、7822人となっており、今期の指定管理業務の初年度であります平成21年度と比較して、34件、671人の増加となってお ります。
このうち、指定管理者による森林環境教育事業の実施状況は、平成24年度で104回、小中学校など延べ35校となっており、同じく平成21年度と比較して、事業数で16回の増、学校数で2校の増となっております。
平成23年度から、小中学校における総合的な学習の時間が削減され、森林環境教育を行う機会が減少している中にあっても、道民の森の森林環境教育にかか わる利用状況は徐々に増加しており、道としては、指定管理者による効果的な森林環境教育プログラムが、子どもたちの森林への理解や関心などを深めることに 役立っていると考えております。
○広田まゆみ委員 最後のほうで、森林環境教育プログラムが、子どもたちの森林への理解や関心などを深めることに役立っていると考えているということですが、定量的ではないというか、やっぱり、ちょっと甘いかもしれないなということを考えるわけです。
現行の指定管理業務の要求水準書の中で、業務の目的として、道民の森を利用する小中学生を対象に、森林をキーワードとした環境教育プログラムを実施する と書いてありまして、実施校数及び実施プログラム数が、それぞれ、延べ30校以上、延べ30プログラム以上とされております。
私としては、こういう要求水準では、場当たり的、イベント的な環境教育を脱し切れないのではないかと危惧しますが、平成24年度に参加した学校の内訳や、主なプログラムの内容について伺います。
○田林緑環境担当課長 森林環境教育プログラムについてでありますが、まず、利用した学校数につきましては、延べ数で、小学校が27校、中学校が5校のほか、幼稚園、高校、特別支援学校が各1校の、計35校となっております。
次に、実施した森林環境教育プログラムにつきましては、道が定めた指定管理者が提供すべき公共サービスの要求水準では、実施学校数と事業の実施回数のみ を求めているところでありますが、指定管理者の工夫により、全体が八つのテーマと15種類のプログラムで構成され、一校が複数のプログラムを利用すること ができることから、例えば、森と水をテーマにした「おいしい水と水生昆虫」が22回、森の役割をテーマとした「森のミステリーサークル」が18回、森と生 き物をテーマにした「野生生物と食べ物」が14回など、合計104回のプログラムが行われているところであります。
○広田まゆみ委員 その実施内容から、現場ではいろいろ努力されていると承知しますが、森林環境教育を深化させ、その実証をしていくということは少し難し いのではないかと思いますので、例えば、プログラム数や学校数が減少したとしても、学齢前から、中高一貫の体系的な――諸外国の事例を簡単に導入するわけ にはいかないかもしれませんが、そういうモデル的実践が必要ではないかと思います。
私としては、さきの第3回定例道議会の一般質問で、前田一歩園財団を事例に、アウトドア森林環境教育の指導者養成や体系的なプログラムの重要性について、指摘をさせていただいたところです。
現在、道民の森に関しては、その活用と整備について、検討を始めたところだと聞いておりますが、こうした森林環境教育の重要性を踏まえて、道民の森という、道が主体的に活用できる場における森林環境教育について、今後、どのように取り組んでいくのか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 水産林務部長沓澤敏君。
○沓澤水産林務部長 今後の森林環境教育の取り組みについてでありますが、森林のさまざまな働きや森づくりの大切さなどを、次代を担う子どもたちに理解し てもらうことが重要でありますことから、道では、新たな森林づくり基本計画において、森林環境教育の充実を図り、森林学習の場として、道民の森の機能を強 化することとしております。
このため、道では、本年9月に、教育関係者や森林づくりの指導者などから成る検討委員会を設置いたしまして、初級から中級、上級へとステップアップを図 ることができるような森林環境教育プログラムの作成や、植樹ばかりではなく、間伐などの育樹活動も行うことができる体験フィールドの拡大などの検討に着手 したところでございます。
道といたしましては、道民の森を、協働の森林づくりの拠点、森林体験学習の拠点と位置づけまして、新たな教育プログラム実践の場や、植樹から育樹までを体験できる場として、一層の活用を進め、森林環境教育の充実に努めてまいる考えであります。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 最後に、指摘をさせていただいて、終わりたいと思いますが、今回は、いわば、道有林の本体部分ではなく、外側の表面的なお話を伺ったわ けですが、北海道ならではの森林環境教育の定義、林野庁の枠を超えた森林環境教育の定義ですとか、体系的プログラムの整備は、道産木材の地材地消を進める 上でも、重要な土台となることだというふうに私自身は認識しています。
また、木育などを中心に、多くの職員の皆さんが手弁当で、まさに道民との協働の現場に参加されていることには、心から敬意を表するところであります。
しかし、あえて厳しく言わせていただければ、北海道から発祥した木育の成果に甘んじることなく、より木育を深化させ、北海道独自の森林環境教育をより深 めていただきたいということについて、今後、私自身も質疑を重ねさせていただきたいと思っておりまして、検討を指摘いたしまして、質疑を終わります。

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