活動報告

平成25年決算委員会 ~ 有機農業・クリーン農業の進捗状況など

2013年11月11日

○広田まゆみ委員 有機農業、クリーン農業の推進状況について質問させていただきます。
戦後、日本では、狭い国土の中で、食料増産を進めるために、農薬や化学肥料を大量に使用してきました。北海道の域際収支を見ても、北海道の赤字の第1位 の機械部門や、第2位の化石燃料の輸入に次いで、第3位の化学製品部門の赤字の中で、医薬品に続いて、化学肥料や農薬も大きな部分を占めています。北海道 が誇る食料自給率の陰で、持続可能性の危うさを議会議論の中でも何度も質問し続けてきたところです。
まず、クリーン農業について伺いますが、北海道は、有機農業推進法の以前から、独自の取り組みとして、クリーン農業を進めてきたと承知しています。
道独自の「YES!clean」表示制度の定義はどのようになっていて、実績として、平成24年度までの生産者数や作付面積はどうなっているのか、また、26年度に向けて達成目標を掲げているはずですが、現時点での達成状況はどのようになっているのか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 食品政策課長小野悟君。
○小野食品政策課長 「YES!clean」表示制度の定義などについてでございますが、この制度は、農作物ごとに定められた、化学肥料や化学合成農薬の 使用の削減などの一定の基準を満たした生産集団において生産、出荷される農作物に、「YES!clean」マークを表示し、あわせて、化学肥料や化学合成 農薬の使用状況等の栽培情報を表示する、道独自の制度であります。
また、この制度に登録されている生産者数は、平成19年度が345集団で、延べで約1万1000戸、24年度は390集団で、延べで約1万1800戸と なっており、作付面積は、19年度が約1万4000ヘクタール、23年度は約1万5000ヘクタールとなっておりますが、北海道クリーン農業推進計画に掲 げる26年度の目標と比較しますと、登録集団では74%、作付面積では55%となっているところであります。
このため、道としては、農業試験場などによる技術的な支援、消費者向けのセミナーや出前講座の開催による需要拡大策などに取り組むとともに、市町村、農協等と連携し、生産者の組織づくりを積極的に進めてまいります。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 作付面積では55%ということで、面積的には苦戦をしているということだと思います。
改めて伺いたいのですが、例えば、特別栽培農産物や有機JASという新たな農産物の表示制度もありまして、ある意味で、消費者にとっては、道独自の表示 制度である「YES!clean」表示制度の意義がわかりづらいのではないかと思いますし、また、政策的な効果の検証も必要だというふうに思いますが、道 独自の表示制度である「YES!clean」表示制度は、ほかの制度と比べて、どのような優位性があるのか、伺います。
○小野食品政策課長 「YES!clean」表示制度についてでございますが、特別栽培農作物の表示ガイドラインにつきましては、化学肥料、節減対象農薬の使用を50%以下に、有機JASについては、原則、化学肥料、農薬を使用せずに農作物を栽培する制度であります。
これらの制度に比べ、「YES!clean」表示制度は、慣行栽培と同様の収量、品質を維持することを前提に、一定の要件を満たした、農協の生産部会な どを基本とする生産集団が、化学肥料、化学合成農薬の使用を必要最小限にとどめ、まとまった面積によって一定のロットを生産し、安定的に消費者に供給でき ることが大きな特徴であり、道としても、積極的に推進していくべきと考えております。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 私の理解が不足しているかもしれませんが、特別栽培農産物や有機JASについては、一匹オオカミでもいいけれども、「YES!clean」表示制度については、一定の生産集団、面積などが必要だということだと受けとめました。
話題が少しずれますが、北海道のクリーン農業のイメージを損なうネオニコチノイド系農薬に関して、少し伺いたいというふうに思います。
ネオニコチノイド系農薬に起因するとされるミツバチの大量死が発生しまして、報道されたところです。EUでは、ミツバチに影響を与えると言われる一部のネオニコチノイド系の農薬等について、本年12月から2年間の使用制限に入ったと聞きます。
私は、こうしたとき、北海道が中央政府に先んじて、クリーン農業の大地として対応できる仕組みが必要だと考えていますが、道内の使用状況や、ミツバチ被害などとの因果関係の認識を伺います。
○佐々木俊雄委員長 技術支援担当局長柴田弘行君。
○柴田技術支援担当局長 ネオニコチノイド系農薬についてでございますが、EUでは、環境に対して甚大な影響を及ぼすおそれがある場合、因果関係が十分に 証明されていない状況でも予防措置をとるという基本的な考え方から、2013年5月に、ミツバチを保護する目的で、3種類のネオニコチノイド系農薬につい て、使用の一部を制限することを決め、12月から2年以内に見直しを行うという暫定的な措置により、実施される予定となってございます。
また、この2年の間に、農薬メーカーなどとともに実証研究を続け、追加データなどを参考に、この規制措置を見直すこととなっているものと承知してございます。
ネオニコチノイド系農薬は、水稲に大きな被害を及ぼすカメムシにすぐれた防除効果を持つ殺虫剤でありまして、人に対する毒性が弱いといった特性を持っているため、水稲のカメムシ防除のほか、多くの作物に広く利用されております。
ミツバチ被害の原因といたしましては、世界的にも、異常気象や寄生ダニ、病気、ストレス、農薬などが挙げられておりまして、我が国では、2009年度以 降、農薬のミツバチへの影響につきまして、農林水産省所管の研究機関が試験研究を実施しておりますが、現在までに、その原因は明らかになっておらず、世界 的にも、科学的には十分に証明されていないものと認識をしているところでございます。
こうした中、道といたしましては、ミツバチへの危害の防止につきまして、引き続き、養蜂関係者と農薬使用者、農業団体、市町村等との緊密な連携のもと、 事前の農薬散布情報の提供や情報交換等が円滑に行われるよう指導するとともに、農薬の適正使用につきまして、徹底してまいる考えでございます。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 カメムシにすぐれた防除効果を持つ殺虫剤ということでありますけれども、カメムシ被害についての消費者の認識ですとか、クリーン農業、 有機農業を進める北海道での等級のいろいろな決め方ですとか、養峰の関係などについても、改めてまた議論をさせていただきたいと思います。消費者にしっか りわかりやすい、北海道のクリーン農業を表現できるような農薬の制限が私自身は必要だと考えていますので、改めて議論をさせていただきたいと思います。
そこで、クリーン農業のことに戻りますが、クリーン農業に関する予算の推移等について、過去5年間、実績ベースで、クリーン農業推進のための予算や人的配置はどのように推移してきたのか、伺います。
○小野食品政策課長 クリーン農業に関する予算等についてでございますが、クリーン農業総合推進事業の予算を年度ごとに見ますと、平成20年度は約 6800万円、21年度で約5500万円となっており、道立農業試験場が独立行政法人化された22年度以降については、道総研の運営費交付金の中に一括計 上された試験研究費を含めますと、22年度で約5200万円、23年度で約3700万円、24年度で約3200万円となっております。
また、職員の配置についてでございますが、平成20年度以降、農政部に4名の職員を配置しており、各振興局では農務課の食品政策係または主査が、農業改 良普及センターでは主査が、クリーン農業に関する業務を担当し、24年度においても、同様の人員を維持しているところであります。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 指摘ですけれども、私としては、有機JASの推進や有機農業の推進について、この後に質疑させていただくわけですけれども、例えば、道 が、「YES!clean」ということで、まとまった面積で一定のロットを生産し、安定的に消費者に供給できるクリーン農業を、北海道の大事なこととして 捉えているのであれば――私は、最近、どうも、クリーン農業の位置づけについて、皆さんと意見交換をしていても、真剣にやっているかどうかというところ が、どうも伝わってこないのですね。
そういう意味では、ほかの部でも、6次産業化とかということで、ものづくりビジョンもつくるそうですけれども、原材料が買いたたかれることなく、付加価 値を高める上で、「YES!clean」表示制度は大変重要だと思いますので、ぜひ、農政部がしっかりと主導し、北海道の地域にお金が落ちるような6次産 業化をやっていただきたいということを指摘させていただきたいと思います。
次に、有機農業について質問させていただきます。
まず、有機農業の農家戸数と栽培面積について伺いますが、WTO主導の農業自由化が進んだ1980年代から、欧州諸国は、アメリカの巨大企業と対抗する意味でも、有機農業の奨励に大きくかじを切ったと私は認識しています。
2011年ベースの統計を見ますと、各国の有機栽培面積比は、イタリアが8.6%、ドイツが6.1%、フランスが3.6%などが続き、日本は、JAS有 機の数値になりますが、わずか0.2%で、アメリカの0.6%や中国の0.4%にも満たないという数字に私は大変がっかりしています。
平成24年度の実績として、日本国内及び道内の有機農業の農家戸数と面積はどのようになっているのか、伺います。
○小野食品政策課長 有機農業の取り組み戸数と面積についてでございますが、農林水産省の調査によると、平成24年度で、有機農産物のJAS規格に適合し た生産が行われていることを認定された有機農家の戸数は、全国で4009戸、北海道で355戸、栽培面積は、全国で9529ヘクタール、北海道で2449 ヘクタールとなっております。
なお、ただいま申し上げたデータについて、農業全体に占めるシェアをそれぞれ見てみますと、戸数では、全国が0.2%、北海道は0.7%、栽培面積では、全国は0.2%、北海道も0.2%となっております。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 北海道の農業の特殊性もあるとは承知をしますが、大変低い数字だなというふうに思っています。
そこで伺いますが、2012年の農水省の調査によると、有機農業推進体制を整えている市町村は全体の17%とされていますが、道内の市町村においては、どのようになっているのか、伺います。
○小野食品政策課長 市町村における有機農業の推進体制についてでございますが、農林水産省が平成24年度に実施した、有機農業に関するアンケート調査の 結果では、都道府県別のデータは公表されておりませんが、道が農林水産省に報告した市町村の集計結果を見ますと、有機農業にかかわる活動のための協議会組 織の設置など、有機農業の推進体制を整備している市町村は15市町村で、全市町村に対する割合は8%となっております。
なお、推進体制が整っていない理由としては、有機農業者がいない、あるいは少ないといった、全国的に共通する回答のほか、酪農、畜産が主体であり、有機 農業への関心が高まっていない、また、農業全体の推進体制を既に整えているといった、本道に特徴的な回答も見られており、単純に市町村割合を比較できない 面もあるものと理解しているところであります。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 今の御答弁のように、何%というのは単純には比較できないと伺いました。しかし、調査方法とかということも含めて、少し低過ぎるのではないかなと考えます。
道としての有機農業推進体制等については、有機農業の推進担当をしっかり配置して、取り組みを強化してきたと私は認識していますが、現在の体制で実績が上がっているのかどうか、進まないとすれば、推進体制を含めて、課題をどのように認識しているのか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 食の安全推進局長多田輝美君。
○多田食の安全推進局長 有機農業の推進体制などについてでございますが、道といたしましては、平成15年度から、農政部に、有機農業担当の主幹及び主査 を配置するとともに、16年度には、当時の中央農業試験場に、有機農業研究推進チームを設置し、さらに、20年度からは、全道の各農業改良普及センター に、有機農業の担当主査を配置するなど、全国に先駆けて、有機農業を推進するための体制を整備し、有機農業技術の開発普及を初め、生産者等のネットワーク づくり、有機農産物の販路や消費の拡大といった取り組みを進めてきたところでございます。
こうした中で、有機農業に関する地域ぐるみでの取り組みを推進するための有機農業者等のネットワークの活動の展開、農業試験場における有機農業に係る 23課題の技術開発や、耐病性が高く、有機農業にも活用が可能な6品種の開発、量販店との連携による道産有機農産物の特設コーナーの設置などといった成果 が見られているところでございます。
しかしながら、有機農業につきましては、栽培技術が十分に確立されておらず、収量が不安定なこと、除草作業などに多くの労働時間を要すること、販路が限 定され、価格も割高で、消費者が入手しにくいことなど、さまざまな課題を多く抱えているものと認識しているところでございます。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 さまざまな課題があることは承知をしております。
では、農業大学校での取り組みについて伺います。
島根県では、農業大学校に、有機農業を専攻できるコースを設けたと聞きましたが、道の農業大学校としては、現在、有機農業をどのように位置づけ、どのように取り組まれているのか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 農業経営課長今井聡裕君。
○今井農業経営課長 農業大学校での取り組みについてでございますが、道立農業大学校では、国における、有機農産物のJAS規格の創設など、有機農業に対 する関心の高まりに対応するために、平成13年度から、有機栽培圃場の整備を進め、16年度からは、有機JAS認証を受けました実習圃場を利用いたしまし て、有機農産物の栽培実習に取り組んできたところでございます。
また、平成22年度からは、新たに、有機農業論の講義と農場での栽培実習を一体化した実践的な有機農業教育に取り組んでいるところでございます。
さらに、有機農業を志望する学生につきましては、2学年時のプロジェクト実践学習におきまして、有機農産物栽培を選択することができることとしており、毎年、3名から5名の学生が有機農業の技術実習に取り組んでおります。
また、道の駅での野菜即売会や農業大学校での農大市などにおきまして、有機実習圃場で栽培いたしました農産物を学生みずからが販売する販売実習を行うことによりまして、有機農産物の品質や価格などに対する消費者ニーズを直接学ぶ機会を設けております。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 次に、有機農業に関する過去5年間の予算や人員の体制がどのように推移してきたのか、伺います。
○小野食品政策課長 有機農業に関する予算と人員の推移についてでございますが、有機農業総合推進事業の予算と、科学技術振興費及び道総研の運営費交付金 の中に一括計上された試験研究費を合わせて、年度ごとに見ますと、平成20年度は約1500万円、21年度で約1500万円、22年度で約1700万円、 23年度で約1600万円、24年度で約1500万円となっております。
また、職員の配置については、平成20年度以降、農政部で2名の専任の職員を配置しており、各振興局では農務課の食品政策係または主査が、農業改良普及センターでは主査が、有機農業に関する業務を担当し、24年度においても、同様の人員を維持しているところであります。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 最後の質問になりますけれども、私は、有機農業、クリーン農業というものを応援する立場です。ただ、もう、北海道のクリーンだとかとい うイメージだけでは勝てないですよね。北海道特有のいろんな事情があると思いますけれども、データとして全く出てこないとか、見せ方として全く訴える力が ないというのは、大変残念なことだと思います。現場はいろいろ努力はされていると思いますが、予算の確保とかも含めて、しっかりやっていただきたいと思い ます。
有機農業のこれからの推進には、種子も有機農業で栽培することが必要と考えますが、道としては、こうした課題も踏まえて、第2期有機農業推進計画で掲げた有機農家戸数の拡大目標に向けて、どのように取り組む考えか、伺います。
○佐々木俊雄委員長 農政部食の安全推進監北村健君。
○北村農政部食の安全推進監 有機農業の拡大に向けました取り組みについてでございますけれども、化学肥料や農薬を基本的に使用いたしません有機農業につ きましては、環境保全型の農業の推進に先導的な役割を担いますとともに、安全、安心を求めます消費者ニーズに応えまして、本道農業が持続的に発展を図って いくための農業形態の一つとして、積極的に推進していくこととしてございまして、本年3月に、第2期の有機農業推進計画を策定いたしたところでございま す。
この計画におきまして、具体的な目標といたしましては、有機農業に取り組みます農家数を、現状の667戸から、平成28年度に1300戸にまで拡大する こととしているところでございますが、この達成に向けましては、種子の安定的な確保を初めといたしまして、栽培技術の確立、除草作業の省力化、販路や価格 の確保、さらには、消費者の理解の促進など、さまざまな課題を克服していくことが必要だというふうに考えてございます。
このため、道といたしましては、これまでの取り組みに加えまして、新たに、経営の一部を有機農業に転換する取り組み、あるいは、有機農業団体との連携に よります新規参入の促進といったことを図りますほか、販路の拡大に向けまして、流通販売関係者を生産圃場にお招きする見学会の開催や、学校給食での有機農 産物の利用促進、さらには、マスメディア等を活用いたしました有機農業に関する情報発信など、生産から流通、消費にわたります幅広い取り組みを通じまし て、有機農業の一層の推進に引き続き努めてまいる考えでございます。
以上でございます。
○広田まゆみ委員 終わります。

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