活動報告

平成26年度決算特別委員会 総合政策部所管 新・北海道科学技術振興戦略について

2014年11月12日

新・北海道科学技術振興戦略について

道は、平成25年に北海道科学技術振興戦略を策定され、これまで以上に、本道の独自性、優位性を活かし「我が国を牽引し、世界をリードする研究開発拠点の形成」をめざして努力をされる方向と認識しています。
平成25年の戦略の推進状況などについてうかがいます。

1 道における試験研究等の推進について
(1) 道総研における25年の実績と評価について
道は、平成22年に道総研を設立し、
〇分野横断的な研究の戦略的展開
〇総合相談窓口の設置による相談体制の整備、充実
などを掲げ、時代の要請を踏まえた研究開発の推進を掲げています。
1つの指標として、道自らが掲げられた中期目標で、民間等との共同研究件数の平成25年の目標は200件のところ、実績は189件、
特許等の実施許諾件数は、目標105件のところ、86件にとどまっています。
目標に届かなかったことについて、道として、どのように評価分析したのかうかがいます。
また、戦略において、平成26年度の指標として、民間との共同研究件数を205件、特許等の実施受諾の件数を、110件としていますが、現状でのとりくみ状況をうかがいます。

(回答)
道総研の数値目標などについてでありますが、北海道地方独立行政法人評価委員会による道総研に対する平成25年度業務実績評価では、共同研究等については、研究成果発表会や個別相談等を通じ、
企業の研究ニーズを把握するとともに、研究成果のPRや研究シーズの提言などを行っているが、実施課題数や実績額が不十分であり、
また、特許の実施許諾件数については、北海道知的所有権センターに所属する特許流通サポ―ターと連携するなどして利用促進をはかったものの、申請件数が目標値に届かず、更なる取り組みが必要と評価されたところ。
道では、目標値を下回った背景としては、経済情勢等により企業等が研究開発を手控えた面もあると考えているが、平成26年度においては、9月末時点で、共 同研究は144件、特許等の実施許諾は81件となっており、道総研においては、数値目標の達成をめざして大学や企業等の連携を強化するなど、共同研究の推 進に取り組むとともに、特許等については、法人本部に知的財産アドバイザーを新たに設置するなど、積極的な活用に努めているところ。

(2) 道総研のめざすべき方向性について
道総研が達成している指標としては、産学官金等の共同研究についてなどだが、私としては、諸刃の剣の側面があるのではと推測している。
なぜなら、外部連携による研究は、研究の自由度が少なく、研究員の創意工夫によるよい意味での遊びの研究ができないのではないのかと危惧する。
道総研が掲げる「我が国を牽引し、世界と競争する成果をめざす」ためには、道総研が持つ強みを特定し、ただ、現在の市場の多様なニーズに対応するだけでは なく、新しいライフスタイルや、グリーンイノベーションを推進するには、外部連携の強化により、表面的な取扱高や件数を増やすだけではいけないのではない かと
考えるところだ。
そこで、まず、うかがいますが、道として、道総研の強みと弱みをどのように認識しているのか、その上で、どのように試験研究の推進を図る考えかうかがいます。

(回答)
道総研に対する認識についてでありますが、
農業、水産、林業、産業技術、環境・地質、建築といった
幅広い分野の試験研究機関を統合して設立された道総研は、
これまで、道の関係部が縦割りで管理していた研究資源(予算・人員等)を一体的に管理運営することにより、総合力を活かした分野横断的な研究や各分野の特性に応じた基盤的研究を通じて、多様化する道民や企業のニーズに、より的確に対応することが可能となったところ。
一方、道総研においては、その運営にあたり、多くを道からの交付金に依存しており、外部資金などの自己収入の割合は2割程度であり、硬直した歳入構造にあるものと認識。
道としては、道総研において、これまで培ってきた技術や豊富な知識はもとより、幅広い分野にわたる研究開発機能を生かして、食産業の活性化や循環型社会の形成など、道の重要な施策の推進に大きな役割を担っていただくとともに、
外部資金の確保を含め、効率的かつ安定的な運営のもと
道民生活や産業の現場で利活用される価値の高い研究に取り組み、
道民生活の向上や道内産業の振興に、なお一層貢献していただきたいと考えている。

(再質問)
強みは、22の機関を統合したこと、弱みは財務体質というご答弁であるが、私が聞きたかったのは、道総研のこれまでの研究成果や人的資源などのどこを、世界と競争するための強みと考えているのかを聞きたかったのだ。再度、見解をうかがいます。

(回答)
幅広い分野の試験研究機関が統合された道総研の強みは、基本的に総合力にあると考えており、その基盤をなすものは、これまで培ってきた知見や技術、それを支える研究者などの人材である。

(指摘)
その答弁自体が弱みではないか。
たとえば、私が想定したのは、中央農試遺伝資源部などには、国内有数の遺伝資源や研究があると聞いている。これがほんとうに強みなのかどうかの精査は必要だが、そういうお答えを聞きたかったのだ。
マネジメントする側が、強みをどこにあるかを認識していないのに、ただ、外で稼げと言われても、現場はモチベーションがあがらないのではないか。
改めて、議論させていただくので、しっかり強みを分析されるように指摘をしておきます。

3 経常研究について
私としては、世界的な遺伝資源、原原種や北海道の固有の在来種などの状況を見たときに、在来種の調査や保存も含め、遺伝資源の保存なども、有効に活用すれば、北海道のこれからの食・バイオ産業の振興に有益であると考えますが、どのような活用がされているのかうかがいます。
また、こうした、いわば地味な研究や管理のために必要な整備に関して十分な予算の配分がなされているのか、危惧するところだが、経営研究分野への予算の配分状況は25年度を含め、独法化以降、どのように推移しているのかうかがいます。

(回答)
植物遺伝資源の活用などについてでありますが、道総研では、品種改良事業に重要な役割を果たす野生種、在来種などの植物遺伝資源を収集保存管理するととも に、その有効活用を図っており、病害への抵抗性が高い大豆や小麦の系統の育成や、DNAマーカーを利用した優良品種の判別技術の開発などに取り組んでいる ところ。
また、技術力の維持・向上等に必要な基盤的な研究や環境や資源等の継続的な調査などの経常研究に係る予算の状況については、
平成22年度が約2億9千万円、平成25年度が約3億4千万円と5千万円の増となっているところ。

(指摘)
27年度からの中期目標について、一律のシーリングの枠を、原則として人件費や研究費には該当させないという方針であると承知していますが、そういうとき こそ、どこを強みとして強化していくのかという認識が、道庁と機構双方に共有されることが重要と考えますの、重ねて指摘をしておきます。

2 基本目標の検証のあり方について
(1) 基本目標の推進状況について
   先ほどのご答弁で道総研の強みは総合力であるとのことだったが、それであれば、なおさら、何をめざしているのか、何のためにやっているのかという目標が重要になる。
   新北海道科学技術振興戦略において、道として、科学技術振興を通してめざす北海道の姿として、3つの目標を掲げていると承知しています。
@ 北海道経済の活性化・自立化の実現
A 安全・安心な生活基盤の想像
B 環境と調和した社会の創造
とありますが、この3つの目標について、25年度はどのような研究成果があり、科学技術の振興がどのようにこの目標に貢献したと考えられているのかうかがいます。
また、課題をどのように認識されているのかうかがいます。

(回答)
新北海道科学技術振興戦略の3つの基本目標のうち、「経済の活性化・自立化の実現」に関しては、札幌や函館、十勝地域において、本道の豊かな食資源を活かし、食の高付加価値化のための研究が進められており、
函館地域では、国の研究開発費により、海藻由来の機能成分などを活用した約200件の商品化が行われ、平成25年度までの累計の売上高は、約100億円となったところ。
2つ目の目標である「安全・安心な生活基盤の創造」に関しては、札幌を中心に医療技術や医薬品の開発などが行われているところ。
また、3つめの目標である「環境と調和した社会の創造」に関しては、
苫小牧沖において、二酸化炭素の削減を目的に二酸化炭素の回収、貯留技術を開発する実証実験などが行われるなど、環境と調和した社会の創造に貢献する研究が進められているところ。
道内では、戦略に掲げる目標の達成に向け各地で様々な科学技術に関する研究活動が着実に進められているところであるが、道としては、本道の優位性を活かした研究開発を一層推進し、研究成果を活用した新たな事業がさらに創出されていくことが必要であると考えている。

(2) 基本目標の検証のあり方について
基本目標の検証のあり方についてうかがいますが、戦略のなかに示されている指標からは、残念ながら、この目標に向かって科学技術振興が進んできたとは検証できないのではないでしょうか。
たとえば、バイオ産業の売上高や従業員数が指標として掲げられていますが、地元の材や資源を使ったのか、道内に技術や人的資源の蓄積につながったのかどうか、これではわかりません。
今後の基本目標の検証のあり方についてうかがいます。

(回答)
科学技術振興戦略では、基本目標の実現に向け
5つの基本的施策を掲げており、その基本的施策の進捗状況を把握するため施策ごとに指標を設定し、毎年度その推進状況をとりまとめている。
具体的には、「研究開発の充実及び研究成果の移転等の促進」という基本的施策については、産官学の共同研究の件数などを、また、「産官学金等の共同の推進」という基本的施策については、道内に本社事業所が存在するバイオ産業の売り上げや
従業員数等の指標を設定し、実績を把握している。
道では、基本的施策や指標等について、毎年度の推進状況を北海道科学技術審議会に報告し、審議をいただいているところであり、こうした基本目標の検証のあり方などについても、今後、北海道科学技術審議会においてご意見をうかがってまいる考え。

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