お花農家やお花屋さんは応援したいけど花き振興条例案には反対する理由②~未来に禍根を残す最大会派単独の条例提案
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こんばんは。
社会企業家的地方議員を100人誕生させて
北海道、日本、そして地球の未来に貢献したい
北海道議会議員の広田まゆみです。
なぜ、条例案に反対するのか?
前回のブログでは、
条例ではなく決議という選択肢もあること。
条例という「立法」をもって、道民の皆さんに対して責務を課す前に、
議会として主体的に、花文化の醸成のために
率先垂範して行動をする方が社会的インパクトが大きいのではないか。
そんな視点から書かせていただきました。
今回のブログでは、
「地方議会の存在意義とは何か?」
という論点から、書いてみたいと思うのです。
できれば、道議会議員のみなさんにもお読みいただければ幸いです。
地方議会の存在意義は何でしょうか?
議会は、住民自治の基盤です。
合議制の住民代表機関として、地域の民主的な合意形成を進め、
民意を集約して団体意思を決定するという重要な役割を有しています。
知事や市町村長は、独任制です。
よくアメリカ大統領と比較されることがありますが、
国会議員によって選ばれる総理大臣と異なり、
地方の首長は直接選挙で選ばれており、
中央政府のさまざまなしばりはあるものの
予算の編成、執行など、アメリカ大統領より強い権限があるとも言えます。
それに対して、議会の特性は、合議制です。
地域は限定されていますが、知事、市町村長と同じように、
直接選挙で選ばれている地方議員は、
地域住民の多様な声の代弁者でもあります。
したがって、議会の力である合議制を担保するものは、
本来、多様性にあると私は思っています。
議員提出条例案に関する申し合わせ
条例の話に戻ります。
道議会では、平成16年3月23日 各会派会長会議にて
政策に係る議員提出条例案について
以下のとおり、申し合わせが決定されました。
会派、政策集団、議員有志等が、政策に係る条例案を提出するにあたっては、
次の事項を基本として取りすすめるものとする。
1 政策に係る条例案を提出しようとする者(以下「提案者」という。)は、
必要に応じて自ら道民意見の聴取及び執行機関との意見交換などを行った上で、
条例案を作成するものとする。
2 提案者は、予め議長及び各派に対し、条例案の内容等について提示し、
提案の意思を明らかにするものとする。
議長は、提案者から提示された内容について、議会運営委員会及び
所管委員会に通知するものとする。
3 議長から通知を受けた所管委員会は、必要に応じて委員会等を開催し
提案者から条例案の内容等についての説明聴取及び意見交換などを
行うものとする。
提案者は、委員会等において提出された意見等について配慮するよう
努めるものとする。
4 提出された条例案の審議方法等については議会運営委員会において
決定するが、本会議において提案説明、質疑を行った後、所管委員会に
付託することを原則とするものとする。
議会には条例制定権があります。
行政のチェックだけではなく、住民自治の観点からも
重要な機能です。
この申し合わせは、
少数会派や、会派横断的な議員有志の提案を保障するために
また、同時に、多数会派の独断的な提案を抑止するために
設けられたものではないかと私は認識しています。
さらに、実際の議員提出条例案の流れを見てみましょう。
基本的には3つの流れがあります。
① 全会派での共同提案を想定していない場合
(全会派の検討組織を設置しない場合)
② 全会派での共同提案を目指す場合
(有志の準備会等を経て全会派の検討組織を設置する場合)
③ 委員会から提案する場合
(常任・特別・議運)
評価はさまざまありますが、
過去の議員提案条例では、
基本的に道議会は全会派一致を旨として
提案前に、会派横断的なワーキングチームなどを設置し、
全会派での共同提案をめざしてきました。
今回の花き振興条例は、自民党会派単独の提案です。
自民党内部の部会で検討が進められてきたとのこと。
パブリックコメントも、5月7日から20日間程度行われ、
結果のみが、現在、ホームページ上に公開されています。
北海道花きの振興に関する条例(素案)についての意見募集(パブリックコメント)結果概要
どこか不透明な印象はぬぐえませんが、
大会派としての、力技で、本会議提案まで進められてきたというのが
現状です。
本会議場での議論を聞いて反対を決めた
しかし、最終的に私が反対の立場を明確にしたのは、
本会議での提案説明と質疑によってでした。
6月24日の本会議場において、共産党真下紀子議員から、
「条例提案についての考え方」を問われた自民党東国幹議員は、
以下のように答えています。
地方自治法112条には、全議員の12%、
本道議会では9名の賛同者がいれば、たとえ1名でも
提案できることとなっております。
この規定は議員の権利として尊重しなければならない条項と
考えますし、その運用は簡素明快にされるべきだと考えます。
例え会派となっていない少数でもそれは自由闊達に
条例提案のできることは担保されていなければならないと考えます。
そのとおりです。おっしゃるとおり。
しかし、議会の最大会派として、
今回、条例案策定のプロセスも単独で行われ、
かつ、道民全般に努力義務を課す条例であるにもかかわらず、
パブリックコメントに関しても非常に限定的な印象を受ける
この花き振興条例提案の根拠に、
地方自治法を持ってくるその感覚自体に
私は強い違和感というか危機感に近い居心地の悪さをおぼえます。
地方自治の重要な要素は住民自治です。
議会は、その住民自治の基盤です。
繰り返しになりますが、
議会は、合議制の住民代表機関として、地域の民主的な合意形成を進め、
民意を集約して団体意思を決定するという重要な役割を有しています。
最大会派である自民党会派が、単独で、しかも短兵急に
条例を提案することが、地方自治法の本旨にのっとっているという
認識のもとで、今回の提案が行われているとすれば、
決して容認できることではありません。
いえ、容認してはいけないと思うのです。
今後の議会運営に大きな禍根を残すことになるのではないでしょうか?
なので、お花農家や、お花屋さんは、ほんとうに応援したいのですが、
この条例案に賛成してはいけないと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
最終日までさまざまな局面があると思いますが
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この記事の投稿者
広田まゆみ
函館生まれ札幌育ち。現在は、白石区在住で、北海道議会議員として活動中。
札幌市立向陵中、札幌西高、北海道大学を卒業後、北海道庁職員として、日高管内浦河町で生活保護のケースワーカーが最初の仕事です。
その後、労働組合の女性部長なども経験し、自分探しが高じて、11年務めた道庁を退職。
空知管内の雨竜町に移住します。
約8年、農家民泊や、農作業ボランティアのコーディネートなど都市と農村の交流を推進するNPO活動に従事した後、道庁の労働組合時代のご縁で、政治の道を選びました。
だいたい10年ごとに大きな転機があった私ですが
これからの人生の時間は、社会企業家的地方議員を100人つくることをはじめ、こどもたち、若い人たちを応援することに集中したいと思っています。
プライベートでは、気ままなひとり暮らしを満喫中。
大の温泉、銭湯好き。
チャンスがあれば、エネルギー独立型のエコ銭湯を経営してみたい。
完全なワーカホリック、働きすぎ人間ではありますが、最近は、ヨガにはまっています。
地域のヨガサークルで週1回教えられるような70歳になってたら嬉しいですね。
他には、着物、ヨガ、旅、ハガキ絵、「館」めぐり、そして、やっぱり、北海道の未来のために働くことが大好きです。
ドラッカー読書会FT。91期エクスマ塾生。