議会質問の議事録をブログに転載してみました~『北海道の縄文世界遺産について』
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100人誕生させたい!!
北海道議会議員の広田まゆみです。
いつもは、公式サイトの
道議会議事録のコーナーで質問の簡易議事録を
PDFファイルで公開しています。
実験的に、こちらのブログの方にも掲載してみました。
以下、長文ですのでご容赦くださいね。
令和3年 環境生活常任委員会 開催状況(2021年1月13日(水)開催)
一.北海道における縄文世界遺産の活用のあり方について
(一)「縄文遺産」に関する認知度などについて
(広田委員)
現在、縄文世界遺産の活用のあり方について、パブリックコメントが終了した時点で、詳細は後日かと思いますが、実施をされました。
令和2年に実施された北の縄文に関するアンケートなどが、皆さま方がお示しになった素案の中でも紹介されていますけれども、縄文の世界遺産登録について知っている人が約6割弱。知ったきっかけはメディアによるという答えが半数以上を占めています。また、このアンケート自体がサイトに自分からフォームに入って回答するという、割と意識がある人が回答しているにもかかわらず、縄文遺産施設に行ったことがない方が約6割という回答であります。しかも、実際に行かれた方のうちの約3割が近くに別の目的地があったのでついでに寄りましたという理由になっております。ただし、一度行ってくださると、もう一度行きたいとの回答が非常に高いということです。
今後、縄文文化に関する認識や、あるいは世界遺産登録申請の認知度などについて、これらのアンケート結果やパブリックコメントの現時点での応募状況も踏まえまして、道としてどのように認識し、今後、どのように取り組もうとしているのか伺います。
(縄文世界遺産推進室長 塚田みゆき)
世界遺産登録に関する認知度などについてでありますが、道では、令和元年7月に北海道・北東北の縄文遺跡群が、国内推薦候補に選定されて以降、世界遺産登録への取組や道内各遺跡への訪問理由などにつきまして、インターネットによるアンケート調査を2回行っております。
その結果では、世界遺産登録をめざしていることを認識していた方の割合は、それぞれ約6割となっております。
また、昨日まで実施しておりましたパブリックコメントにおきましては、アクセス環境に対する考え方など数十件の御意見が寄せられており、こうしたことからも、道民の皆様をはじめ多くの方々に、縄文遺跡群の世界遺産登録に関心を持っていただいているものと考えております。
道といたしましては、縄文遺跡群の価値や魅力について、道民の皆様はもとより、国内外の多くの方々に関心を持ち、理解を深めていただきますため、昨年秋から、主要な交通拠点での動画による広報、年末年始におけるテレビCMを活用したPRを実施したところでありまして、引き続き、北海道初となる世界文化遺産登録の実現をめざし、積極的な気運醸成に努めてまいります。
(二)未来に継承すべき縄文の世界観、価値について
(広田委員)
今お話されましたように、私どもも含めてですけれども、登録されるのかされないのか、ということで、登録に向けたPRというのをずっと啓発活動をされてきたと思うんですけれども、そこをもっと縄文そのものの世界観について発信していくことが重要だというように思います。皆さま方の「北海道における縄文世界遺産の活用のあり方」の素案というところでは、「未来へつづく、一万年ストーリー。」という副題が書かれております。私としては、今のコロナ禍のなか、行き過ぎた資本主義ですとか、人間と野生生物の距離感の問題だとか、実は都市における人口集中や格差の問題など、どうしても道庁の行政担当部は首都圏メディアを中心とする陽性者数の、北海道も決して油断はなりませんけれども、一喜一憂するという状況。そこはやはり対策していかなければいけないですが、そういう大きな構造とかもしっかり見ていく必要があり、文化振興施策をどうして自治体がやるかというのは、そういう視点をしっかりもっていくということも私としては重要だと考えているわけです。
アフターコロナを展望し、この縄文文化を持つ精神性は私としては今後北海道から世界に発信しうるメッセージともいえると思いますし、そうしなければいけないと私自身は考えているところです。
この素案の将来像の中には、「近年、地球環境を保全し、多様性と包摂性のある国際社会の実現に向けた取り組みが広がるなか、厳しくも豊かな北海道の自然のなかで育まれた「北海道の縄文」の価値に光をあて、訪れる多くの人に共感や感動を与えられる資源として磨き上げることで、新たな「価値」を創造し、地域に交流と賑わいを創出していくことをめざします」とありますが、この「価値」とは何なのか、それがこのあり方の素案では不明確といいますか充分に書き込まれていないと考えます。
私自身は、この世界文化遺産の意義というのは、建造物や遺跡、物質、物体の保全を超えてその遺跡、遺構でありますとか、発掘される歴史的な資料だとか、その物から浮かび上がる精神性に大きな価値があるのではないかと考えております。
道として、皆さん方が掲げているわけですから、「未来へつづく、一万年ストーリー。」というのは、どんなストーリーを、どんな価値を未来につなげようとしているのか改めて伺いたいと思います。
併せて、私も道の方にも情報提供頂いたりしまして、数年前になりますけれども、縄文遺産の現場をまわらせていただきました。そこには、今人口減少と言われている中で、Iターンを含めて、地域で努力している学芸員さん達がいました。自分の研究だけに埋没せずに、地域の未来に貢献をいただくという前提ではありますけれども、遺跡で採集した「モノ」をこえて精神性とか、その世界観の醸成、発信に、現場の学芸員さん達が力を発揮していただくことに強く期待するものです。今後、そういう学芸員さん達とどのように連携をとり、その活動を支援していく考えか、併せて伺います。
(縄文世界遺産推進室長 塚田みゆき)
「北海道の縄文」の価値などについてでございますが、縄文遺跡群は、自然との共生のもと、1万年以上前から定住を実現した顕著で普遍的な価値を有するものとして世界遺産登録をめざしているものであり、中でも、北海道では、本州が稲作を基盤とした弥生文化に移行した後も、狩猟、漁労、採集による縄文文化の生活様式を守り続け、厳しくも豊かな北海道の自然のなかで、独自の文化が育まれた貴重な価値を有するものでございます。
道としては、こうした遺跡を将来にわたって守り、継承していくという熱い想いを持った人材が、遺跡の保存や研究はもとより、遺跡を活かした地域づくりの担い手として、独自の縄文文化と普遍的な価値の継承や地域の賑わいの創出に中心的な役割を果たしていただけますよう、学芸員など関係自治体の職員や地域で活動されている方々との連携の場を構築するなどして、地域における活動への支援や連携の促進に取り組んでまいります。
(三)縄文世界遺産登録を契機としたさらなる環境保全について
(広田委員)
今は世界遺産としての普遍的な価値というところで自然との共生のもと、一万年以上前から定住を実現したという部分のお話がありました。私としては、この縄文世界遺産登録を契機として、更なる環境保全について北海道が強く発信していくべきだというふうに思います。
地球環境の危機がいろいろ叫ばれて久しいわけでして、特に本当に若い世代の人たちが色んな発信をしているわけですけれども、今の日本人と同じ生活を世界の人がすると、あと3個分くらい地球が必要だとも言われておりまして、そういう意味で、非常に地球としては危機的な状況にあるわけです。ある意味で、そういう時に厳しい自然環境を受け入れながら、狩猟を旨とて、コミュニティとして定住し、助け合いながら定住し、1万年、史跡の資料からも争いがなく続いた縄文文化の発信ということは、ある意味農耕文明が人類の進化とされてきたことへの強烈なアンチテーゼでもあるというふうに思うんです。農耕により、人間による環境破壊が始まり、所有によって争いが始まったともされております。
このあり方案をみますと、オーバーツーリズムによる地域住民の生活環境の悪化や、世界遺産のものの、遺跡の価値の棄損などは課題として認識されていますが、縄文世界遺産から発信する地球環境へのメッセージに乏しいと私は考えております。
私としては、先日アドベンチャートラベルの視点から、自然公園地域における高い環境基準についても環境生活部がリーダーシップを取るべきとご指摘をさせて頂いたところですけれども、例えば、縄文世界遺産地域における脱ペットボトルのキャンぺーンなど、欧米地域からの観光客に訴求しやすい縄文の世界観を表現できるような取組が必要だと考えるところであります。
広域自治体の道の役割として、環境保全に関しても、縄文世界遺産活用のあり方の大きな柱として位置づけるべきと考えますが、所見を伺います。
(縄文世界遺産推進室長 塚田みゆき)
環境保全の取組についてでありますが、各構成資産を所管する市町では、各遺跡ごとに策定をしております「保存活用計画」におきまして、来訪者の増加によるゴミの増加などにより遺跡の保全や地域住民の生活に支障が生じることがないよう、取り組むこととしておりまして、道といたしましても、現在策定を進めております「活用のあり方」において、来訪者を受け入れる体制整備の取組の一環として、地域の環境保全について示す考えでございます。
また、こうした地域環境の保全と合わせ、一万年にもわたり、自然との共生によって暮らしや文化を維持してきたという極めて稀な北海道・北東北の縄文文化の価値を発信しますとともに、訪れる方々にその価値を認識していただくため、遺跡群を有する地域として、積極的に地球環境問題等に取り組むことも重要と考えております。
このため、道といたしましては、「活用のあり方」に、関係市町とも連携し、廃プラスチック対策や脱炭素社会に向けた取組の必要性についても示す考えでございます。
【指摘】
基本的にはごみの問題ですとか、基本的には各自治体というところは尊重しておりますけれども、例えば欧米、オーストラリアを見ますと、公共エリアでのボトル飲料の販売禁止をした自治体ですとか、2500人規模の小さな自治体ではありますけれども、オーストラリアでは自治体全体でボトル飲料水を販売禁止などを自治という形ですけれども住民集会で決めた街などが出始めています。ですから、ここで色んな考え方を示す、地球の環境保全について考え方を示すときに、中央省庁などが東京中心の日本の国内メディアだけの視点ではなくて、やはり世界に向けて参考事例をきちっと道も示していき、その取組を応援するような姿勢を道として必要ではないかというふうに思っております。日本においては例えば水道水が飲めるおいしい水だということは、全くアピールする価値にもならない普通のことなんですけれども、ヨーロッパで進められているところではペットボトル飲料の販売を禁止した時点で水道水を飲めるということをきちんと表示して、それ自体も価値になっているわけです。日本だとトイレの手洗い場でどこかで水を汲みなさい、飲めるんだから、ではなくて、きちんと世界観を含めたメッセージを表現して誰でも飲める水の飲み場を公共エリアに設置することでも欧米ですとか、オーストラリアの皆さんにもインパクトがあるわけですので、このエリアとしてどんなメッセージを、水道は道の関知していることで、水道のこれからの持続可能性というのはいろんな課題があると思いますけれども、せっかくここで力を入れてきた水道なんですから、そこも含めてしっかり縄文の世界観とあわせてPRするということも考えていくことも出来るというふうに思うんですね。そういったところで是非ご検討いただきたいと思います。
(四)遺跡へのアクセスのあり方について
(広田委員)
北海道が抱える課題として、車以外のアクセス環境が十分に整っていないことがあげられます。これも現代人の発想で、どんなサービスを提供するかという視点ではなく、当時の厳しい自然環境でたくましく生き抜いてきた縄文の世界観から考えれば、例えば、化石燃料を使わない移動、トレッキングですとか、縄文時代には自転車はありませんでしたけれども、サイクリングなども含めたトレイルコースの開発なども重要ではないかと考えています。
世界的には、ヨルダンなど、このトレイルコースの開発で成功している事例もありまして、アクセスのあり方についても、ある意味で縄文の世界観を明確にした上で、体現しているような選択肢も必要だと考えるわけです。道としては、この遺跡へのアクセス向上についてどのように取り組む考えか伺います。
(縄文世界遺産推進室長 塚田みゆき)
遺跡へのアクセスについてでございますが、道内の構成資産を訪れる交通手段の多くは、バスやタクシー、自家用車等が中心となっている現状にありますことから、遺跡を所管する市町では、登録後の来訪者の増加を見据え、遺跡までのシャトルバス運行や駐車場の確保、誘導サインの整備など、アクセス環境向上の取組を進めていると承知。
道といたしましては、こうした市町の取組に関して、必要に応じて関係市町と連携し、道路管理者など関係機関に対する要請など、広域的な視点から支援を行いますほか、国内の他の世界文化遺産における遺産の保全に影響を与えない適切な管理方法や障がいのある方に配慮した見学コースの構築といった取組事例の把握に努め、その内容について関係市町と情報を共有しつつ、遺跡周辺の環境にも配慮した来訪者の受入の充実に努めてまいります。
【指摘】
難しいのは承知、発想の枠を超えてということだと思いますけれども、指摘として、その既存のアクセス向上という視点だけでなくて、環境に負荷をかけない新たな旅のスタイルですとか、人生を変えるような体験がこの縄文世界遺産に来たらできるというような、そこが発信できるようなトレイルコースの開発についても広域自治体の道として検討されるべきであると指摘をさせて頂きたいと思います。色んなその先進事例だとかも調べるというようなお話をされていたと思うんですけれども、ヨルダンは北海道と同じくらいの面積だったと思うんですよね。そこで成果を挙げてますから、さっきも申し上げたように日本の国内の狭い枠ではなくて、北海道から世界へ発信するのにどういう可能性があるのかというところもですね、道として地域に提供できるような、そういう検討を指摘をさせて頂きたいと思います。
(五)条例の制定などの必要性について
(広田委員)
目的は、世界遺産の認定そのものではなく、それは手段であり、通過点だと思っています。だとするならば、縄文の世界観をどのように道民のみなさんと未来へつづくストーリーとして認識共有し、いわば「足るを知る」といいますか、行き過ぎた資本主義によらない持続可能な発展のメッセージを北海道から発信することがSDGsを推進する観点からも重要であると考えています。
この素案についてもですね、皆さんご自身がSDGsの、特にゴール11、「住み続けられるまちづくりを推進する」そのものに位置づけるというふうに皆さん自身が設定しているわけですから、このあり方についてもですね、国や市町村の保全計画、いわゆる文化庁の縦割りというか、今までの遺産の保全計画などとも連携しなければいけないものというのがあると思いますけれども、是非、条例を作るということを考えていただきたいというふうに思います。条例制定などの検討が今からあってしかるべきと考えますが、所見を伺います。
(文化局長 成田正行)
条例の制定などについてでございますけれども、道におきましては、知床が、平成17年に世界自然遺産に登録をされ、その登録後10年を契機として、知床の価値を改めて見つめ直し、貴重な財産をより良い形で将来の世代に引き継いでいくため、「北海道知床世界自然遺産条例」を制定した経過がございますが、縄文遺跡群については、「縄文遺跡群世界遺産登録推進本部」が文化庁の指導のもと策定した「包括的保存管理計画」や「保存活用推進行動計画」、さらには、現在道が策定を進めております「活用のあり方」に基づきまして、遺跡の保存管理や活用に係る施策を着実に進めることとしているところでございます。
道といたしましては、まずは、世界遺産登録後の来訪者の動向や遺跡の保全状況を的確に把握・分析をし、必要に応じて対処する考えであり、条例の必要性につきましては、共に遺跡群を構成する北東北3県の考え方なども十分見極める必要があると考えております。
【指摘】
世界遺産登録が実現するまでは、3県との足並みを揃えていくことも必要ではあると思いますけれども、登録されて以降は、むしろ北海道が世界に発信できる価値をしっかり表現をして、集客に貢献するという方が東北ほかの3県にも貢献できるものと考えるわけです。この北海道の全ての市町村にもいえると思いますけれども、競争したり意識する対象は隣町ではなく、隣のところと横並びということではなく、世界にどう発信するかという視点だというふうに思います。知床のように、10年経ってからではなく、登録後すぐ、皆さん自身が、北海道の縄文とわざわざ表現しているわけですから、いわゆる南北海道だけじゃなく、北海道の全体の様々な多様な縄文も含めての北海道の縄文ということを、このあり方の中にも言及されているわけですから、登録後すぐ、道としての役割を果たせるよう、準備させていくことを求めて質問を終わります。
この記事の投稿者
広田まゆみ
函館生まれ札幌育ち。現在は、白石区在住で、北海道議会議員として活動中。
札幌市立向陵中、札幌西高、北海道大学を卒業後、北海道庁職員として、日高管内浦河町で生活保護のケースワーカーが最初の仕事です。
その後、労働組合の女性部長なども経験し、自分探しが高じて、11年務めた道庁を退職。
空知管内の雨竜町に移住します。
約8年、農家民泊や、農作業ボランティアのコーディネートなど都市と農村の交流を推進するNPO活動に従事した後、道庁の労働組合時代のご縁で、政治の道を選びました。
だいたい10年ごとに大きな転機があった私ですが
これからの人生の時間は、社会企業家的地方議員を100人つくることをはじめ、こどもたち、若い人たちを応援することに集中したいと思っています。
プライベートでは、気ままなひとり暮らしを満喫中。
大の温泉、銭湯好き。
チャンスがあれば、エネルギー独立型のエコ銭湯を経営してみたい。
完全なワーカホリック、働きすぎ人間ではありますが、最近は、ヨガにはまっています。
地域のヨガサークルで週1回教えられるような70歳になってたら嬉しいですね。
他には、着物、ヨガ、旅、ハガキ絵、「館」めぐり、そして、やっぱり、北海道の未来のために働くことが大好きです。
ドラッカー読書会FT。91期エクスマ塾生。