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【ひろまる日記】9月25日 ポスト資本主義社会(序章) 「歴史の転換期」

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「ポスト資本主義社会」は、1993年ドラッカー83歳のときの著作。
以下は、ポスト資本主義社会序章からの転載です。

【序章】歴史の転換期

<われわれが経験しつつあるものは何か>
 政治の世界においては、われわれがすでに400年にわたる国民国家の時代から、国家が政治の唯一の統合体ではなく、単にいくつかあるもののうちの1つであるにすぎない多元主義の時代に移行していることも確かである。
国民国家は、諸々の構造、すなわちグローバリズム、リージョナリズム、トライバリズム(部族主義)が共存する中にあって、依然として重要な要素であることは変わらない。しかし、それはいくつかの要素の一つであるにすぎなくなる。私はこれを「ポスト資本主義体制」と呼ぶ。これらのことはすでに起こっていることである。したがって描写することのできるものである。


<ポスト資本主義社会の姿>
 現実に支配力を持つ資源、最終決定を下しうる生産要素は、資本でも土地でも労働でもなく、知識だということである。ポスト資本主義社会における支配的な階級は、資本家とプロレタリア階級ではなく、知識労働者とサービス労働者である。


<知識社会への移行>
 われわれが異質な新しい社会に移行したことが初めて完全に明らかになったのは、イデオロギーとしてのマルクス主義と社会システムとしての共産主義の双方の崩壊によってだった。そしてそのようなとき、本書のような書物が可能となった。予測するのではなく描写する書、未来についての予測ではなく、今日ここでの行動を求める書が可能となった。

 このポスト資本主義社会もまた、経済活動を調整する実験済みのメカニズムとして自由市場を使用する。ポスト資本主義社会は、反資本主義社会ではない。非資本主義社会でさえない。資本主義の主要機関は残る。銀行をはじめとするいくつかの期間も、これまでと異なる役割を担うようになるかもしれない。だが、生き残るだろう。 

 基本的な経済資源、すなわち経済用語でいうところの生産手段は、もはや資本でも、天然資源でも、労働でもない。それは知識である。

 ポスト資本主義社会は、価値観によって二分されることになる。(中略)ここでいう社会の二分とは、知識人と組織人への二分である。前者は言葉と思想に関わりをもち、後者は人と仕事に関わりをもつ。実にこの二分を超えた新たな統合こそ、ポスト資本主義社会における哲学的および教育的な課題となる。

<国民国家を超えて>
 フランスの政治家ジャン・ボダンが国民国家のコンセプトを発表して以来、国民国家は400年にわたって唯一の政治権力機関となってきた。フランス革命以降、すなわち過去200年間というもの、国民国家は「社会による救済」の信仰という世俗的信条の担い手ともなってきた。実のところ、主権国家たる国民国家だけが唯一の権力機関であるとする教義にとって、共産主義であれナチズムであれ、全体主義こそ究極の理念であり、理想だった。

 だからといって、国民国家が衰退しようとしているのではない。それは今後も長期にわたって最強の政治機関でありつづける。しかし、もはや唯一の権力機関ではなくなり、ますます他の機関、他の組織、他の政策決定者と力を分け合うようになる。
 それでは国民国家独自の領域として残るものは何か。逆にそれぞれの国内において、他の独立した機関によって行われるようになるものは何か。分離され、ローカルとなるものは何か。これらの問いが、今後数十年にわたって政治の中心課題となる。

 「社会による救済」の信仰が終わりを迎えたからには、内面への志向が始まる。改めて個人、すなわち人間が重視される。さらには、個人の責任への志向さえ生まれるかもしれない。

<第三世界の行方>

 先進国の利害もまた、第三世界にある。第三世界において経済と社会の急速な発展がみられない限り、先進国はその経済的、社会的、文化的な吸収能力を超えた移民の洪水に見舞われることになる。
 しかし、そもそもがポスト資本主義社会とは、途上国ではなく先進世界の発展の結果であり、成果である。ポスト資本主義社会がつきつける課題に対する答えは、第三世界では見つからない。
 ポスト資本主義社会とポスト資本主義政治体制に伴うさまざまな課題、機会、問題は、その発生の地においてのみ扱うことができる。すなわち先進世界においてである。

<ポスト資本主義社会における社会、政治、知識>
 本書における検討の対象は、社会、政治、知識の領域である。ただし、私はそれらを重要な順に並べたわけではない。もしそうであるならば、本書巻末の「教養ある人間」に関する短い考察を最初に持ってくるべきだった。私はこれら三つの領域を予測が容易な順に並べた。

今日のわれわれの時代は、まさに転換期である。未来の社会が、本当にわれわれの望むような知識社会になるかどうかはもちろんのこと、それがどのようなものになるかということさえ、このポスト資本主義という転換期の課題に対して、先進国の知的リーダー、実業界のリーダー、政治のリーダー、そして何よりもわれわれの1人ひとりが、いかに応えていくかにかかっている。
 しかい、いずれにせよ、いまが未来をつくる時である。なぜならば、まさにいますべてのものが流動的であって、不安定だからである。いまこそ、行動の時である。

転載は以上です。
これが、明日の課題範囲の準備です。
キーワードにも、要約にもなっていませんが、
読んでくださる皆さんと情報共有します。
ドラッカーは、私自身が感覚的に感じていた問題意識を
言語化してくれる存在でもあります。
未来の社会は
予測するものではなく、
すでにそこにあり、予測ではなく、
行動によって作られるものということが
以前読んだときよりも
心に強く響きます。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

 この記事の投稿者

広田まゆみ

北海道の自立と未来のための志事人、広田まゆみです。
函館生まれ札幌育ち。現在は、白石区在住で、北海道議会議員として活動中。

札幌市立向陵中、札幌西高、北海道大学を卒業後、北海道庁職員として、日高管内浦河町で生活保護のケースワーカーが最初の仕事です。
その後、労働組合の女性部長なども経験し、自分探しが高じて、11年務めた道庁を退職。
空知管内の雨竜町に移住します。

約8年、農家民泊や、農作業ボランティアのコーディネートなど都市と農村の交流を推進するNPO活動に従事した後、道庁の労働組合時代のご縁で、政治の道を選びました。

だいたい10年ごとに大きな転機があった私ですが
これからの人生の時間は、社会企業家的地方議員を100人つくることをはじめ、こどもたち、若い人たちを応援することに集中したいと思っています。

プライベートでは、気ままなひとり暮らしを満喫中。
大の温泉、銭湯好き。
チャンスがあれば、エネルギー独立型のエコ銭湯を経営してみたい。
完全なワーカホリック、働きすぎ人間ではありますが、最近は、ヨガにはまっています。
地域のヨガサークルで週1回教えられるような70歳になってたら嬉しいですね。

他には、着物、ヨガ、旅、ハガキ絵、「館」めぐり、そして、やっぱり、北海道の未来のために働くことが大好きです。

ドラッカー読書会FT。91期エクスマ塾生。
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